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「バウアー残留」謎のトレンド入りも…DeNA“超大物”の1年をスポーツ紙はどう報じた?「電撃来日!!」から「ジャック バウアー」まで 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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posted2023/11/01 11:02

「バウアー残留」謎のトレンド入りも…DeNA“超大物”の1年をスポーツ紙はどう報じた?「電撃来日!!」から「ジャック バウアー」まで<Number Web> photograph by JIJI PRESS

DeNAに加入し、スポーツ紙をにぎわせ続けたバウアー

和解が成立→来季契約にも注目が集まっていた

 でもなぜそんなトップ選手が突如日本にやってきたのか? バウアーはサイ・ヤング賞に輝いた翌21年から3年1億200万ドル(約107億円)の大型契約を結びドジャースに移籍。

《しかし、同年に女性から「暴行を受けた」との告発を受け、制限リスト入り。DVなどの禁止規定違反による324試合の出場停止処分を受けた。再調査の結果、停止試合数は194に軽減され今季から復帰が可能となったが、今年1月に自由契約となった。》(サンスポ3月14日)

 そんな状況の中、DeNAは慎重に獲得調査を進め、暴行の疑いは証拠不十分で不起訴となり、刑事責任を問われていないことや、本人との入念な話し合いも重ねてオファーを決断したという(記事より)。約30億円とされる今季の年俸はドジャースが負担するため、出来高を含めた4億円規模の契約で合意に達した。

 そして最近10月になってこのニュースが。

『DeNA・バウアー和解成立「ようやく前に進める」 ドジャース時代の21年に性的暴行疑い』(スポニチ10月4日)

 バウアーはSNSの動画で示談金の支払いには応じなかったこと、暴行の事実はないことを主張し「ファンを喜ばせるため投球に集中できる。ようやく前に進める」などと話した。

 和解が成立したことで、一気に来季の契約に注目が集まった。

『バウアー「米でも日本でも韓国でも」』(日刊スポーツ10月17日)

 記事はこの時点で「ソフトバンクなど日米で争奪戦が予想される」と書いている。バウアー自身は「メジャーでも、日本でも、韓国でも」と。そんなときにドラフト会議でDeNAが野手を1位で指名したので「バウアー残留か?」というつぶやきが多く放たれたのだ。

勝っても負けてもバウアー

 このようにバウアーは話題に尽きない。スポーツ新聞でもデビューから大活躍した。今年の印象的な紙面をいくつか挙げてみよう。

『勝った!吠えた!!鮮烈デビュー バウアーやっぱ最強』(サンスポ5月4日)

 どうですかこの格闘家の日本デビュー戦のような興奮。しかし翌週の登板では一転し、

『バウアー7失点KO!!』(日刊スポーツ5月10日)

 巨人にまさかのKO。やっぱり格闘技の紙面みたいだ。『バウア~』という脱力系の見出しもあった。この次の試合も広島にKOされたため、『バウあぁ 2回KO』(スポーツ報知5月17日)。

 バウアーはこのまま勝てないのか? するとそのあと徐々に調子を上げて、

『中4日来日初完投 バウアー』(サンスポ6月15日)

『DeNA交流戦初優勝 “裏MVP”はバウアーだ』(東スポ6月22日)

『虎退治3連勝! バウアーで奪首』(日刊スポーツ6月26日)

【次ページ】 「ある事件」も話題になった

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