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「目を真っ赤にして激怒した日も」渡邊雄太が“情熱的なリーダー”に進化するまで…アメリカで痛感した無力な自分、理想のキャプテンはスラダン仙道 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byYUTAKA/AFLO SPORT

posted2023/09/04 11:03

「目を真っ赤にして激怒した日も」渡邊雄太が“情熱的なリーダー”に進化するまで…アメリカで痛感した無力な自分、理想のキャプテンはスラダン仙道<Number Web> photograph by YUTAKA/AFLO SPORT

感情をむき出しにしたリーダーシップでチームを牽引した渡邊雄太。観る者を魅了するプレーと言葉が目立った

 渡邊にとって理想のリーダーシップとはどういったものなのか。象徴的な言葉がある。これもジョージ・ワシントン大時代、名作バスケットボール漫画『スラムダンク』の中で最も印象に残った場面を聞いたときのことだ。

「陵南が海南戦でリードを奪われて、みんながパニクっているときに、仙道が“落ち着いて1本行こう”ってチームメートたちに伝えるシーンがありました。そこでキャプテンの魚住が、“本当はお前の方がキャプテンに向いている”と心の中で思うんです。仙道の器量というか、リーダーシップ、信頼度の高さを感じさせる1シーン。凄く印象に残っています」

 特にコート上では熱血漢の印象がある渡邊は、飄々としていて掴みどころがなかった陵南のエース、仙道彰とは少々タイプが違うのだろう。上記通り、渡邊のリーダーシップはコート上での全力プレーだけではなく、必要に応じてボーカルリーダーにもなれる類のもの。それでも常に安定した形でチームを支え、攻守両面で安心感を与える存在という点で、今の渡邊と仙道にはあるいは共通点があるのかもしれない。

渡邊雄太の存在なしに快進撃はあり得なかった

 目標にしていたパリ五輪への出場権を掴み取った今大会の日本の頑張りは、日本バスケットボール史上に燦然と刻まれる。3勝のうち2勝は15点以上をひっくり返しての大逆転劇であり、そのドラマの立役者となった河村、富永、比江島らの鮮やかなロングジャンパーの残像は決して消えない。

 しかし、それらのすべては、キャプテンの富樫とともに絶対のリーダーとしてチームを牽引し、活気と安心感を与え続けた渡邊の統率力、求心力がなければあり得なかった。

 総合的な意味での日本のベストプレーヤーであり、牽引車。まだまだ老け込む年ではなく、もうしばらくチームを引っ張っていってもらわなければいけない。ここで結果を出すことで晴れて“代表引退宣言”を撤回することができた渡邊の行く手に、さらに明るい日本代表の未来がうっすらと見えてくる。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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