「狙っていたカーブを捉えた本塁打でした。仲田選手は今春のセンバツでも相手バッテリーの配球を読んで長打を放っていました。狙い球の絞り方、打ち損じをしないで打球を遠くに飛ばす技術に長けています。本塁打を打てる右打者を必要としている球団は多いので、上位にリストアップする球団もあると思います」

投手でも140キロ台の直球を投げられるショートとは

　一塁手の大砲に加えて、今夏の甲子園でスカウトの目を引いたのは攻守ともにハイレベルな遊撃手だった。

　仙台育英・山田脩也選手、東海大熊本星翔・百崎蒼生選手らがプロ注目の逸材として名前が挙がる中、特に高く評価されたのは上田西・横山聖哉選手。投手としても140キロ台の直球を投じ、長野大会では2本の本塁打を放つなど打力でも存在感を見せている。

　スカウトが惚れるのは守備力だ。

「ただ肩が強くて速い球を投げるだけではなく、送球の質が良いです。三遊間の深い位置からでも送球が低くて強い。フットワークや体の使い方が上手いので、捕球から送球までのロスが少ないところも長所です。高校に入ってから着実に成長していて、これからの伸びしろも感じさせます。打撃もスイングが鋭く、上位打線を任せる遊撃手として期待したくなる選手です」

　今夏の甲子園では本塁打が期待された佐々木、真鍋、佐倉の3人に柵越えはなかった。決勝に進んだ慶応と仙台育英の両監督やチームスタイルに関心が集まり、野球ファンからは「今秋ドラフト候補の高校生は不作」という声も聞こえてくる。しかし、スカウトは「名前を挙げた選手の他にも将来性を感じさせる選手、夏の甲子園で評価を上げた選手はいます」と反論する。プロのスカウトは選手が出した結果の先にある可能性を見ている。

　その視点は投手に対しても同様である。「今大会で最もワクワクさせてくれた選手」とは誰だったのか――。

＜投手編につづく＞

#2に続く

スカウトは大阪桐蔭・前田悠伍の“伸び悩み説”を「全く気にしない」甲子園エースをホンネ評価「最もワクワク」「カーブと直球が光った」のは？