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ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
井上尚弥に“階級の壁”はあるのか? バンタム→フェザーで世界を制した長谷川穂積に聞く“壁を感じた瞬間”「あれ、効いてないのかな、と…」
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byNanae Suzuki
posted2023/07/25 11:02
現役時代の長谷川穂積さん(2012年撮影)。バンタム~フェザー級の3階級で世界を制した名王者は、井上尚弥の階級アップをどう見ているのか
「あれで自分のボクシングを見失った」
一気に2階級を上げたブルゴス戦で、長谷川さんは果敢に前に出て打ち合い、激闘を制して2階級制覇を達成した。しかし、この試合は長谷川さん本来のスピードをいかした「打たせずに打つ」ボクシングとは少し違っていた。この試合の前、長谷川さんは母親を亡くし、「何が何でも獲らないといけないという思いが強すぎて、自然と前に出る戦い方になった。だから距離が遠いとは感じなかった」のである。
その気持ちがあったからこそ、2階級制覇を達成できたと感じている。一方で、「あれで自分のボクシングを見失った」という代償は、初防衛戦でジョニー・ゴンサレス(メキシコ)にTKO負けという形で支払うことになった。階級アップの難しさはどこにあるのか。そして井上はフルトンを相手に“階級の壁”を感じる可能性はまったくないのだろうか。後編でさらに詳しく聞いていく。
<後編に続く>
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