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大谷翔平の投球に“苦笑した”敵軍監督「打者は2種類のスイングを強いられる」冴えまくっている“スライダー”に隠された秘密とは
posted2022/08/01 17:00
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
二桁勝利&二桁本塁打。1918年にベーブ・ルースが達成して以来、誰もなし得ていない偉業はまたしてもお預けとなった。10勝に王手をかけた昨季9月の3登板を含めればこれで5度目。偉大なる先人に追いつき、追い越すことは大谷と言えど容易ではない。それが「野球の神様」と謳われたベーブ・ルースに肩を並べることの重みということか。
なんとしても勝つ。7月28日レンジャーズ戦、マウンドの大谷にはそんな思いがみなぎっていた。
悔しさがにじみ出た大谷
初回、無死満塁のピンチは4番ロー、5番ガルシア、6番タベラスを3者連続空振り三振。ウイニングショットはいずれも145キロ前後の高速スライダーだった。
0ー2で迎えた6回無死三塁でも走者をまったく動かさない。ガルシアをスライダーで、タベラスをスプリットで空振り三振に仕留めると最後は元チームメートのカルフーンを右飛に仕留めた。6回2失点は先発投手として申し分ない内容も球数はこの時点で98。マウンドを譲った。
「数字はやっぱりついてくるものだと思っているので。ただ、10勝はやっぱり節目として大事かなと思っていますし、プレーヤーとして大きなことだとは思う」
泰然としながらも悔しさがにじみ出た。
6敗目。だが、投球内容は今回も圧巻と言えた。奪った三振は11。6月22日のロイヤルズ戦からの二桁奪三振は6戦連続に伸び、通算324勝、メジャー歴代最多の5714三振を奪ったノーラン・ライアンが77年に樹立した7戦連続二桁奪三振の球団記録にあとひとつに迫った。
対戦監督が語る「打者は2種類のスイングを強いられる」
1試合平均の奪三振数もこれで13.14。規定投球回数にも達しメジャートップに躍り出た。圧倒的な存在感を発揮する今季の投球を象徴する内容でもあった。
100マイルをマークするパワー投手でありながら、スライダー、カットボール、カーブ、スプリットには緩急をつけ、軌道も臨機応変に変化させる。かわすというより変化球で攻める。組み立ての多彩さが際立つ。
この日は98球中、スライダーが50球を占めた。全投球の51%になる割合は今季最多。そのスライダーが冴えに冴えた。レンジャーズの将、クリス・ウッドワード監督が具体的に説明してくれた。