酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「驚異の69本塁打ペース」山川穂高30歳の進化は「高すぎた三振率」改善にあり《中村剛也超え・松井秀喜以来50発なるか》
posted2022/05/17 11:03
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
JIJI PRESS
今年は「投手の大記録」が続出している。リーグのデータを見ても「投高打低」が顕著になっているが、そんな中で大記録を作る可能性がある打者がいる。
西武の山川穂高だ。
オリックス、ロッテの総本塁打数を山川1人で……
すでに本塁打王2回に輝くなど、パ・リーグを代表する強打者だが――ここ2年は右足首、左ハムストリングなどの足の故障で満足な成績を残すことができなかった。
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今季もオープン戦では打率.205、1本塁打と振るわなかったが、開幕2戦目から3試合で4本塁打と調子が上向いた。しかし3月30日の日本ハム戦で走塁の際に右太ももの肉離れで戦線離脱。今年も苦しいシーズンかと思えたが、4月19日に再登録されると本塁打を再び量産し始める。5月15日時点で14本塁打は、ソフトバンクの柳田悠岐ら4人に8本差をつけてダントツの首位。さらに31打点もトップで、規定打席未達ながら.356をマークしている。
14本塁打のうち3ランが4本、2ランが4本、走者がいる状況で本塁打がタイミングよく出ている。また山川の14本塁打はオリックスのチーム本塁打12本よりも多く、ロッテの14本と同数だ。
この調子をシーズン終盤まで維持すれば、以下の成績となる。
129試合447打数159安打69本塁打154打点45四球89三振 打率.356
2013年にヤクルトのバレンティンが作ったシーズン60本塁打を上回りそうな勢いだ。打点も1950年、松竹の小鶴誠が記録した161打点に迫る数字となる。
もちろん、長いシーズンには好不調の波がある。山川がこのままの調子を維持するとは考えにくいところではあるが、今季の山川は2018、19年と2年連続本塁打王を取ったシーズンと比べても明らかに違う部分がある。
三振はホームランのコストだが、多すぎるのも……
山川が規定打席に初めて到達した2018年以降の本塁打数と三振率(三振数÷打数)の推移を見ていく。
2018年 47本塁打 三振率.255(541打数138三振)
2019年 43本塁打 三振率.271(524打数142三振)
2020年 24本塁打 三振率.311(322打数100三振)
2021年 24本塁打 三振率.282(358打数101三振)
2022年 14本塁打 三振率.200(90打数18三振)