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まさかの開幕3連敗…石井琢朗コーチは“どん底のベイスターズ”をどう変えるのか?「本当の意味で戦えるのはもう少し先。でも…」
posted2022/03/28 11:04
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
JIJI PRESS
チームは確実に変わりつつあると信じたい――。
開幕カードの広島戦を3連敗で終えた横浜DeNAベイスターズ。投手陣が崩れ、守備の乱れも散見した厳しいスタートとなった。これが現実と言ってしまえばそれまでだが、いわばDeNAは現在、過渡期にある。
オープン戦を3位で終え、期待を集めていたDeNAの目に見えた変化と言えば、出塁率や進塁打を意識したチーム打撃と次の塁を狙う積極的な走塁。ヒットは出ずとも何とか得点を奪い、それを守り切るといった執着心。昨年までの長打力に頼りがちだったスタンスとは異なる、泥臭さくもあり勝つことにシンプルにフォーカスしたプレーは、チームとして成長が感じられた。
14年ぶりの復帰、石井コーチ「たしかに変わりつつある」
開幕戦では歯車がかみ合わず機能しなかったが、目指すは相手の嫌なところを突く、粘り強い野球。これは昨年指揮官となった三浦大輔監督が目指していたひとつの形であり、そのキーマンとなっているのが、今シーズンから野手総合コーチに就任した石井琢朗コーチである。1998年のベイスターズ日本一の立役者のひとりであり、ゴールデングラブ賞や盗塁王を幾度も獲得し、2000本安打を達成した球史に残るショートストップ。現役引退後は広島、ヤクルト、巨人でコーチを務め、チーム力を向上させたその手腕は高い評価を受けている。
今季14年ぶりに復帰した古巣でいかなる指導をするのか注目されたが、その効果は確実に表れているように感じられる。
「たしかに変わりつつあるとは思います」
開幕する数日前、石井コーチはゆっくりと頷き、そう言った。
「もちろん相手があることですから毎回上手く行くわけではないのですが、グラウンドに立つ選手たちの意識の変化は確実に感じられます。ベンチからも味方走者に対し『行けー!』という声が出ていますし、去年のことはわかりませんが、そこはすごい変わってきたのかなって。ただ重要なのは、チームとしてこれをいかに継続できるのか」
コーチ就任時から訴えてきた“勝つための意識づけ”
DeNA指導者への就任にあたり石井コーチは当初、勝つための「意識づけ」の重要性を説いていたが、春季キャンプとオープン戦を通し、選手たちとコミュニケーションを取り、土台を作り上げてきたという。また昨年の秋季トレーニングでチームの印象を訊いた際には「個として素晴らしい才能を持った選手は多いけど、まだひとつチームとして戦えていないのではないか」と指摘していたが、その懸念は払しょくされつつあるのだろうか。
「そうですね。春季キャンプの練習メニューもしかり、個人というよりチームレベルで取り組むメニューを意識的に取り込みましたし、なるべく一体感を出すため円陣を組ませたり、またミーティングも個人的にやるのではなく、選手全員で共有するような形にしました」