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「自分は本当、ネガティブなタイプなんです」DeNAのドラ1右腕・小園健太が心に刻んだ怪物・松坂大輔からのアドバイスとは
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byNanae Suzuki
posted2022/02/21 11:01
昨年のドラフトで阪神と競合の末に獲得した大型右腕。出身の市立和歌山高校は益田直也選手や川端慎吾選手などを輩出した名門
「松坂さんにはいろいろと質問させていただいたのですが、一番印象に残っている言葉は『1年目はとにかくがむしゃらにやりなさい』ということです。とにかく自分としても難しいことを考えることなく、がむしゃらに向かって行こうって」
この「1年目はとにかくがむしゃらにやりなさい」という言葉は、松坂がルーキーイヤーのときプロの先輩でこれもまた高校野球のスター選手だった桑田真澄(現巨人投手チーフコーチ)から贈られたものだった。まさに高卒怪物投手の系譜を感じられるエピソードである。
臆病で繊細で堂々と力強く
小園の起用に関しては、1年目は体力作り、または後半戦から登板、中10日でまわすのではといったさまざまな憶測が飛び交っているが、チーム方針もあるものの当の本人は正直どのような青写真を描いているのだろうか。
「正直まだ自分が通用するとは思っていないんです。他の選手にくらべフィジカルも足りなければ、技術的には制球力も100%とはいえない。もちろん早く投げたいという気持ちはあるのですが、段階を踏むことによって自信をつけてから戦いたいなって思いはあります」
未来を見据えた、地に足の着いた建設的な考え方。非常に前向きでポジティブだと思えるのだが、と尋ねると、小園は苦笑しながらかぶりを振った。
「いや、自分は本当、ネガティブなタイプなんです」
意外な言葉だと思ったが、しかし考えてみれば、最悪を想定できるからこそ目の行き届いた隙のない準備ができるものだ。強い選手ほど、臆病で繊細である。高校時代からマウンドさばきは堂々として力強い。プロでもそうあるために、小園は細心の注意を払い、そしてがむしゃらにこの1年トレーニングに取り組んでいく。
「本当に早くチームの戦力になりたいと思っているので、そこを目標としてブレずにやっていきたいと思います」
誰もが小園を早くハマスタで見たい気持ちはあると思うが、今は本人が納得のいく準備ができたその日が来ることを楽しみに待ちたい。
悠々として急げ――。