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「僕は元々、くそネガティブ」 メジャー2年目はスタメン僅か“14試合”…秋山翔吾は“数字”で出場への「世論」を作れるか?
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2021/07/18 17:01
オープン戦での怪我から代打、守備での出場が続く秋山翔吾。後半戦でのスタメン奪取はなるか
長い我慢を経て巡ってきたチャンスや、やっとの思いで出たヒット1本が、翌日には何の意味も持たない。期待が高まっては踏み躙られ、マルチ安打が出てチームの勝利に貢献して溜飲が下がったと思えば、翌日には奈落の底に突き落とされる。秋山は今、メジャーリーグ1年目の去年よりも遥かに厳しい現実と向き合っている。
たとえば7月1日からの1週間、レッズは秋山を代打(死球)、代打(見逃し三振)、代打(左飛)、出場なし、出場なし、スタメン(3打数無安打1四球)、スタメン(4打数2安打1打点)という起用法で使った。最後の2打席で連続安打を放った上に2本目の左翼線二塁打は打球も強かったことから、『連続して打席を重ねれば、調子は上がる』と思わせたが翌日からの3日間は出場なし。完全に「控え選手」の扱いである。
「『世論』を作り出せるほどの数字を残せなかった」
「(オープン戦で)怪我した自分が悪いんですよ」と秋山は言う。
「野手の場合、怪我とか不振とかで試合に出ないことになるんですけど、それが長くなればなるほど、他の誰かがチャンスを掴む。日本にいた時からずっと、そういう恐怖と戦ってきました。今年に関しては、僕が怪我で試合に出られない間にチャンスを掴んだ人間がいて、復帰してからも、周りにいる誰もが『もっとショーゴを出せばどうなんだ?』というような、『世論』みたいなものを作り出せるほどの数字が残せなかった」
秋山がオープン戦で左太腿を傷めて負傷者リスト(IL)に入り、開幕に間に合わずにリハビリをしている間、ニック・カステヤノス右翼手とジェシー・ウィンカー左翼手が首位打者争いをしながら、「簡単に休ませることも出来ない不動の両翼」となった。残る中堅手には、マイナーリーグ契約でメジャーリーグ(MLB)のキャンプに招待選手として参加したタイラー・ネイクインが、秋山不在のオープン戦で42打数13安打(打率.310)3本塁打7打点と打ちまくって「開幕メジャー」を勝ち取り、開幕後も長打力を発揮して打線の中軸を任された。
「これだけ外から野球を見るっていうのは予測していなかったし、それについてはもちろん、思うところはあります。でも結局、自分なりに頑張ってますとか、こんな起用法で結果出るわけねーよなってのは、自分が思ってるだけ、やってるつもりなだけのレベルを越えてないんです」