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日本人選手“10代メジャー直行”の賛否…結城海斗19歳の“解雇”で考える 菊池雄星は「高校生がマイナーに飛び込むのは大変」
posted2021/07/02 17:30
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
JIJI PRESS
日本人史上最年少でMLB球団のKCロイヤルズと契約していた結城海斗が自由契約となった。
日本の高校へ進学せずに海を渡った右腕には注目が集まったが、厳しい結果となった。このコラムでも彼の挑戦を応援していただけに、残念というしかない。
過去に、菊池雄星(マリナーズ)や大谷翔平(エンゼルス)が高校を卒業してのメジャー挑戦を目指した際には世間から「成功するはずがない」と否定論が渦巻いたが、若くしてのメジャー挑戦はこれまでどおり日本のプロ野球を経てからというのが定石なのだろうか。
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とは言え、海外FA権までの取得年数が9年と長く、1年でも早くメジャーに挑戦したい選手からすれば、かなり重大な選択を迫られるだろう。大谷のように割と早い段階で球団からの容認がもらえればいいが、選手によって、9年近くを待たされるのは長い。
個人的には、挑戦したい意欲があるのであれば、年齢には関係なく、早い段階から海を渡るべきではないかと思っているが、結城のことがあるだけに、世間の見方はさらに厳しくなったという印象だ。
世間からバッシングを受けた“3人”は今…
昨年の3月、まだコロナ禍に見舞われる前、「高卒からのメジャー挑戦」をテーマにアリゾナで取材をして回った。当時は結城のことを意識していたわけではなかったが、近年の高校野球の取材などで球児の思考も変化しつつあっただけに話を聞いてみたくなったのだ。
取材を受けてくれたのは、ドラフト前に日米20球団と面談を行うなど高卒からのメジャー挑戦を目指した菊池、大学・社会人を経てダイヤモンドバックスに入団した吉川峻平、レッドソックス時代にワールドチャンピオンになり、今季から台湾に籍を置く田澤純一だ。
3人はドラフト当時、世間からのバッシングを受けている。
その中で菊池はメジャー行きを断念し、吉川はドラフト前にメジャー球団と契約、これは違反行為となった。田澤はドラフト直前に12球団に指名断りのFAXを送り実現につなげた。彼らが今になってどう感じるかはこの問題へのヒントになる。
菊池雄星「マイナーに飛び込むのは大変」
「勘違いするんじゃない」「通用するわけない」などとバッシングを受けた菊池は高校時代、相当苦い思いをした。「高校生で僕と同じ夢を持った人が出てきたときは応援してあげて欲しい」と語っていたことがあったが、メジャーの舞台を知った今は以前とは異なった感想を口にした。