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井岡一翔の“タトゥー論争” 入れ墨を入れた元世界王者・佐藤洋太は「ルールよりも気遣いだと思います」
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2021/01/10 11:03
圧倒的な強さで大晦日の田中恒成戦を制した井岡一翔はその後大きな論争を巻き起こした
入れ墨を入れたボクサーのほとんどがルールを守ってきた
入れ墨をめぐる意見は実に多様だと思う。「もっと入れ墨が社会に認知されてほしい」と強く願う人がいれば、あまり深く考えずにタトゥーを入れて「失敗した」と思っている人もいるかもしれない。佐藤さんのようにファッションと言い切る人もいれば、「信念を体に刻む」という考えの人もいるだろう。入れ墨を入れる人の間でもそのタトゥー観はさまざまだ。
一方、タトゥーに否定的な考えの人も、「入れ墨なんてとんでもない!」という問答無用派から、「他人がやるのはまったく気にならないけど、自分の子どもが入れたいと言ったら反対するかなあ」というレベルまで実にさまざまだと予想される。
入れ墨を入れたボクサーは昔から一定数存在してきた。そのほとんどがルールを守り、入れ墨を見えないようにしてリングに上がってきた。たまに消し方が甘かったり、試合中に見えてきてしまったりすると、JBCが試合後に文書で注意を促してきた。厳しい処分はなかった。そうやって今までやってきた。
この問題、そう簡単に答えは出ないだろうし、無理に出す必要もないのではないだろうか。やはり佐藤さんの言うように、それぞれの立場への“気遣い”で運用していくのが現時点ではベターのように思える。