渋野日向子とロープの一線。～結界の向こうのメディアの使命～

　新型コロナウイルスが蔓延する前のゴルフトーナメントの現場では、1本のロープが向こう側とこっち側を分ける結界だった。

　一般の観客はロープのこっち側から選手のプレーを観て、音を聞く。そうして贔屓の選手に声援を送り、スーパーショットに歓声を挙げ、拍手で讃える。

　そこは感情の世界である。

　ただ1本のロープの向こう側は別の領域、冷静の世界なのだ。

　プレーヤーと帯同キャディー。そして大会関係者と限られたメディアの人間。選手はもちろん、周囲の人々も最高のプレーのために集中しながら自分の仕事をする。周囲の盛り上がりとは別に、感動はしても冷静にプロとしての立ち居振る舞いが求められる。