特別な経験だったロンドン五輪

　初めて出場したアテネオリンピックの時は、全く手が出なくて、レベルの違いを痛感しました。でも復帰後のロンドンオリンピックは違って、あれは私の中でも特別な経験でした。

　普通、監督はチームのカラーに選手を染めようとしがちじゃないですか。だけど、眞鍋監督が指揮した全日本には、違う色に寄り添える選手もいれば、反発する選手も、主張する選手もいて。みんなそれぞれの色があるんだけど、それを眞鍋さんがうまく1つにまとめてくれていた。

　眞鍋さんはよく「俺はサファリパークを扱ってるんや！」って言っていて。それに対して私たちが「眞鍋さんが一番サファリパークにいそう！」なんて言ったり（笑）。

　選手との間に壁を作らず、選手もツッコミを入れられるフランクな関係。選手の意見もしっかり聞いてくれて、その上で間違っていれば、俺はこう思う、って正してくれる。

「お前にはこういう立場で、こういうことを頼みたい」と一人一人に役割をちゃんと与えてくれたので、やりがいもすごくあったし。みんなが納得した形を作ってくれたんですよね。

　眞鍋さんのそういうところは本当に素敵だと思いました。

楽しさを伝えられる立場にいる幸せ

　ロンドンオリンピック後には引退することを決めていたので、大会が進んでいくうちに、このメンバーで戦えるのはあと何試合しかない、何点しかない、という思いでずっと戦っていました。

　色々な試合に出ましたけど、ここまで試合が終わってほしくないと思ったことはなかった。だから最後の1点の時はほぼ泣いてました。メダルを取ったことよりも、あのメンバーで戦えたことが嬉しかったし、本当に最高の体験でした。

　引退した今は全国を回って、中学生を対象にバレーボールの楽しさなどを伝えるバレーボール教室やイベントをやっています。教えるのはとても苦手なんですけど、こうしてバレーボールの楽しさを伝えられる立場に自分がいることが、すごく幸せだなと実感しています。