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プロ野球選手がFAする理由と葛藤。
SB福田秀平が決断前に明かした本心。
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byNanae Suzuki
posted2019/11/25 15:00
シーズン終了後にFA宣言したソフトバンク福田秀平。進路を決断する直前にインタビューに応じてくれた。
決めたのは日本一になってから。
――FA宣言するには勇気も要りますよね。
「『どこもオファーをくれなかったらどうしよう』という不安はありましたし、勇気は要りました。でも、『●●球団が福田を獲得調査』という記事を見たりしているうちに、『もしかしたらチャンスがあるのかな』と」
――ニュースを見て自分の評価を知るんですね。
「でも、本当の評価は交渉の場じゃないと確かめることができないので、そのためにもまずは宣言しようと思ったんです」
――FA宣言することを決めたのはいつですか。
「日本シリーズが終わってからですね。それまではホークスで日本一になることしか考えていなかったですし、僕もその輪の中にいましたので」
――シーズンが終わってすぐに決めたんですか。
「2日後くらいですね。FA宣言するためには日本シリーズが終わってから7日間以内に申請しなければいけないので、『あと7日しかない』と思ってしまって。むしろ宣言してしまえばじっくり考えられると思ったので、思い切ってしました」
――FA宣言するためにはどのような手続きを踏むんですか。
「まず、シーズン中に日本プロ野球選手会から封筒が送られてくるんです。その中の通知書に『FA権を取得しました。福田選手はCランクです。獲得球団には人的補償も補償金も発生しません』というようなことが書いてあります。そのあと提出書類が送られてくるので、自分の名前を書いて球団に持って行き、フロントの方に『FA宣言します』と言って、手渡ししました」
――その書類を見たときにどう思いましたか。
「もっと煩雑な書類かと思っていたんですけど、意外とシンプルに紙1枚だったので『これだけでいいんだ』と驚きました(笑)」
細かいデータを提示され、驚いた。
――実際に他球団と交渉してみて、FAに対するイメージは変わりましたか。
「こんなに悩むものなのかと……複数のチームから本当にありがたいお話を頂いて、毎日のように悩んでいますし、日によって考えがコロッと変わりますし」
――オファーをくれた球団から共通して評価されたのはどこですか。
「自分で言うのはおこがましいですけど、守備と足は評価していただきました」
――具体的にはどのように評価されたんですか。
「たとえば『代走で出て、ここぞの場面で走れる思い切りの良さ』を評価してもらえたこともあれば、『状況に応じて慎重な判断ができる』と言ってもらえたこともありました。『一塁ランナーとして相手バッテリーにプレッシャーを与えられる』とか、僕としてもプロ生活で大事にしてきたことを相手チームにも見てもらえていたのは、本当に嬉しかったですね。やってきたことが間違いじゃなかったんだと思えました」
――この2シーズンで飛躍したバッティングはどのように評価されましたか。
「バッティングはデータで示していただいた球団が多かったです。『打球速度の平均が前年より8km上がっている』とか『いろんな球種を万遍なく打てている』とか『防御率3.30以下の好投手から打率3割以上打てている』とか、自分でも知らないような細かいデータが出てきてビックリしました」