ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
誰よりもバットを振るDeNA神里和毅。
コーチも感心する“縦振り”効果。
posted2019/06/09 09:00
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Kyodo News
打撃フォームを毎年のようにマイナーチェンジし理想を追い求める筒香嘉智についてどう思うか? 今年のキャンプのとき神里和毅に訊くと、彼は神妙な面持ちで言った。
「勇気の必要なことだと思います」
そして、こうつづけた。
「変えていかなければ成長はないということなんでしょうね。だから僕も自分に合ったものをしっかりと見つけて、それを伸ばしていきたい。この世界は競争ですから、常に進歩していかないと」
今シーズン、リードオフマンとして一皮むけた印象のある2年目の神里だが、そのバッティングにおいて昨年とくらべ確実に変化している部分があると、打撃コーチの坪井智哉は次の点を指摘した。
「昨年は長打力はあるのに率が残らない感じでしたが、今年は長打力そのままに率が上がってきている。確実に言えるのはバットの軌道が変わったということ。端的に言うと“横振り”から“縦振り”になりました。結果、甘い変化球を拾えるようになっている」
インパクトまで脱力する。
神里は昨年の8月に死球を受け右足甲を骨折すると戦列を離れ、そのままシーズンを終えている。悔しさのなかで過ごしていたリハビリ期間中、神里が自分と向き合い見つけた答えはバットの軌道を変えることだった。
ミートする感覚をもっと研ぎ澄まさなければこの世界では通用しない。筒香をはじめ宮崎敏郎や梶谷隆幸、また自主トレをともにした日本生命の先輩である中日・大島洋平らに意見を求め、神里は今シーズンに向け自分の理想とするものを着々と作り上げてきた。
カギとなるのは、インパクトの瞬間まで完全に脱力をすること。その力の入れ具合は神里いわく「ぐにゃぐにゃ」だという。
「縦振りに慣れるまでは、そこを意識しないと上手くバットを振ることができなかったんです。今は徐々に馴染んできていて、勝手に体が動くようになってきていますね」