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スーパーボウルに史上初の男性チア。
チアの歴史140年で実は原点回帰?
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byUNIPHOTO PRESS
posted2019/02/09 11:30
ラムズのチアリーディングチーム内で踊るクイントン・ペロンとナポレオン・ジニーズ。
元々チアリーダーは男性?
1980年代にNFLで男性メンバーがダンスをしたこともあったが、昨今はスタンツと呼ばれる組体操的な要素やアクロバティックな動きをする際のサポートに留まり、ダンスをする男性メンバーは皆無だった。
「チアリーダー=女性」という印象が強いが、チアリーダーを直訳すると「応援団」。
アメリカでのチアリーダーの歴史を紐解くと、今から約140年前、1877年にプリンストン大学の男子学生がアメフトの試合の応援のために始め、その後、ミネソタ大学の男子学生が現在のようなスタイルにしたと言われている。
女子が参加し始めたのは、1900年代初頭。その後、第二次世界大戦中には女性の割合が増加したが、当時、女性のスポーツがなかったことも応援に回った理由と考えられる。
最初は声をあわせて応援したり、飛び跳ねたりするだけだったが、1960年代頃からポンポンを使ったり、ダンスやアクロバティックの動きが加えられ、応援だけではなく、競技スポーツとして進化を続けている。
アメリカで大学生のアメフトの試合が始まったのが1869年。チアリーダーは大学のアメフトの歴史と共に始まり、歩み続けて来たとも言える。
NFLの募集要項に性別欄はない。
NFLの数チームはすでに2019年度のチアリーダーのメンバー募集をしている。募集要項を見てみると、応募条件は18歳以上であること、シーズン中の活動にすべて参加すること、ほかのプロチームや大学などで活動しないことなど。
性別については特に何も書かれていない。アメリカでは仕事の募集をする際に、性別を問うことは差別とされているからだ。持ち物や服装も、「ダンスができる服装、靴」という程度で、男女ともに応募できる条件になっている。
ただチームや他のプロスポーツではちょっと変わった募集要項も見かける。
NHL(北米アイスホッケーリーグ)はチアリーダーならぬ「アイスガールズ」として募集しているので、男性にはちょっとハードルが高い。