ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
負の歴史でもカメラを止めるな。
DeNAドキュメンタリー公開の覚悟。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byYDB
posted2018/12/13 08:00
主将の筒香嘉智も「空気は重かったと思います」。この作品を通じてDeNAが伝えたかったこととは――。
キャンプイン前、選手にも配布。
後日、DVD・Blu-rayの特典である副音声のトークを収録する際に、作品を見た宮崎は、終わると「リアルやな。また悔しくなってきた」と、ぽつりと語り、また山崎は「僕が知らないことが一杯あった」と言ったという。
選手たちもチームメイトとはいえ、他の人間が何を考えているか現場ではわからないことも多い。
DeNAのファンばかりでなく野球ファンが楽しめる作品ではあるが、一方では選手たちがこれを共有することにより、チームに対し自分は何ができるのかを気づかせてくれる役割も果たしているのだ。
ここ数年、キャンプイン前日の1月31日、選手たちにはキャップやベルトといった道具が配布されるが、そこにはこの『FOR REAL』のDVDも含まれているという。
DeNA体制になり7年間、選手たちのまわりにはカメラが常にあり、選手たちはそれを当たり前のこととして許容している。映像として真実は紡がれ、作品はチームの成長を促す大事なファクターにもなっている。
前出の里見氏は自信を持って言う。
「だからこれはもう球団にとっての“文化”なんです。ファンの方々にはこの作品を見て共感や納得、そして癒しを感じてくれたら嬉しいですね」