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F1はなぜ反発覚悟で改革を進めるか。
1つは女性のため、そしてセナの存在。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2018/02/25 11:00
2月22日に発表されたメルセデスのニューマシン。コクピットを保護する「ハロー」が全車に装着されることになる。
「時代とともに歩まなければ」
F1界でただひとり、チームの副代表を務める女性であるウイリアムズのクレア・ウイリアムズは、「私たちは時代とともに歩まなければならない。女性がこの世界で仕事をするチャンスはグリッドガール以外にもたくさんある」とFIAの決定を支持している。
ハローのないマシン、グリッドガールという、これまで続いてきたF1の伝統をすべて否定しているわけではない。
だが、伝統は時代とともに変化する。なぜなら、伝統とは習慣だからだ。習慣とは多くの人々がそれを必要だと欲したからこそ続き、伝統となる。しかし必要でなくなれば、たとえ何百年続いた伝統であっても廃れる。
伝統にこだわり、変化を頑なに拒否し、時代に合わぬまま取り残されれば、もはや伝統は廃れ、生き残ることはできない。
もちろん、ハローがついたF1、グリッドガールがいないF1が確実に支持されるとは限らない。そのときは、再び変化すればいい。変化を恐れていては、伝統を守ることはできないのだから。