スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
前田健太と“脇役たち”の貢献度。
ドジャースが思い出した必勝の形。
posted2017/10/14 11:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
AFLO
10月9日、ドジャースとアストロズが地区シリーズを早々と突破した。順当といえば順当だが、ドジャースは、対戦相手のダイヤモンドバックスをレギュラーシーズンで苦手にしていた。19戦して8勝11敗。なかには6連敗も含まれている。
だが、短期決戦となると話はちがう。第一に、ダイヤモンドバックスは10月4日のワイルドカードでロッキーズと対戦したとき、絶対エースのザック・グリンキーを先発させなければならなかった。となると、地区シリーズでは10月9日の第3戦までグリンキーを使えない。しかもドジャースは、ロードゲームに弱いリッチ・ヒルを第2戦の先発にまわし、第3戦でダルビッシュ有をグリンキーにぶつけた。
ダルビッシュが5回3分の0を2安打無四球1失点に抑えたのに対し、グリンキーは5回3分の0で4安打5四球3失点だった。これではダイヤモンドバックスに勝ち目はない。もっともグリンキーは、ワイルドカードでも3回3分の2を投げて6安打4失点と打ち込まれていた。9月中旬までは好調だったのだが、ここへ来て調子が下降気味だったことは否めない。
だが、シリーズの明暗を分けたのは、実は7日の第2戦だったのではないか。
マエケンらを投入した早め早めの投手リレー。
この試合、ダイヤモンドバックスは、今季対ドジャース戦3勝0敗(5試合に登板)のロビー・レイを先発させた。一方、ドジャース先発のヒルは、対ダイヤモンドバックス戦に今季4度先発して3敗(1試合は勝敗つかず)とあまり相性がよくない。ドジャースのデイヴ・ロバーツ監督としては、早め早めの投手リレーを念頭に置いていたにちがいない。
案の定、初回に2点を取られたヒルは、4回でマウンドを降りた。このあとは6人の投手が小刻みに交代して、相手打者の目先を変えていく。
トニー・シングラーニ(3分の1回)、前田健太(1回)、トニー・ワトソン(3分の2回)、ブランドン・モロー(1回)、ジョシュ・フィールズ(3分の1回)、ケンリー・ジャンセン(1回3分の2)。ワトソンとモローは点を奪われたが、残る4人は失点ゼロで切り抜け、最終的には8対5と打撃戦を制することとなった。