プレミアリーグの時間BACK NUMBER
「俺は老人ホームに来たんじゃない」
31歳ルーニー、古巣復帰は美談か。
posted2017/07/17 09:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
7月9日、エバートンの公式アカウントによる「ウェルカム・ホーム(おかえりなさい)」とのツイートでウェイン・ルーニーの移籍が伝えられた。
翌日には、『サン』紙が「ドリーム・カム・トゥルー(夢が叶う)」ならぬ「DREAM COME ROO」と報じてもいたように、マンチェスター・ユナイテッドから古巣への復帰は喜ばしいニュースとして発信された。
入れ替わるように、ユナイテッドはエバートンからロメル・ルカクを獲得した。そのルカクにとって、24歳にして今回がプレミアで3度目の完全移籍であるように、ティーンエイジャーの青田買いや選手の短期移籍が当たり前の世界でもある。
その中で「心のクラブ」を持つ選手は貴重な存在だ。ルーニーにも、中国やアメリカで超高待遇が約束される道があったが、本人は年俸半減を承知でエバートンとの話をまとめるよう代理人に依頼。週に2000万円台を稼ぐ高給取りではあるが、『テレグラフ』紙などで「頭ではなく心で決めた」と讃えられる「帰郷」が実現している。
ユナイテッドにいても、心はエバートンだった。
ルーニーにも2004年にビッグクラブ入りを選んだ過去はある。今秋で32歳になるFWのハイライト集を作れば、2004年、堂々のCL戦ハットトリック・デビューから、2011年のマンチェスター・ダービーでの華麗かつ強烈で劇的なオーバーヘッドによる勝ち越しゴール、2013年リーグ優勝を決めた一戦での45mパスによるアシスト、そして今年、クラブの歴代最多得点記録を更新した完璧なFK……やはりユナイテッド時代が占める。
しかし、ルーニーは生粋の「エバトニアン」である。復帰に際してエバートンの公式チャンネルに告げた、「(ユナイテッドでの)13年間、ずっとエバートン仕様のパジャマを着て寝ていた」という告白を疑う者は地元のライバル、リバプールのサポーターぐらいだろう。