「ああ、この人たちはすべてをかけていたんだな」と。

「ある試合で、下馬評では早実が勝つだろうといわれていて実際に大差で勝ったんですけど、相手チームの人たちは全力でぶつかってきていたし、試合後には涙を流していました。

　それを見て、『ああ、この人たちはすべてをかけていたんだな』と感じたんです。

　同時に『うちの3年生たちには、こういうかたちで終わってほしくないな』と強く思って。それ以来、自分の結果は気にならなくなりました」

　だから一度でも甲子園出場のチャンスを疎かにして後悔したくないのだと、清宮は続けた。

　この思いが自然と表に出た場面が、昨秋の東京都大会準々決勝・関東一戦だった。初回1死一塁の第1打席で、清宮は詰まった二ゴロに倒れる――。