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<リオパラリンピックを振り返る>
山田拓朗「貪欲なメダリスト」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2016/11/18 12:00
パラリンピックを観てもらうように、準備を。
達成半ばに終わったリオを、一方ではプラスに捉えている。
「もし、金メダルを獲っていたら、だらだらしてこれからの4年間を過ごすか、やめちゃうかだと思うんです。2020年の東京までやると決めていたので、そのためにはよかったと思います。100mはイメージしていたのとぜんぜん違う泳ぎになったし、50mは記録も順位もあと一歩のところで逃した。そういう意味では次へのモチベーションになると思うしすごくよかったかなと思います」
手ごたえも得られた。
「メダルを獲れたことは自信にはなりましたし、もし今回獲っていなかったら、東京では4回失敗しているプレッシャーを持った状態で戦わないといけなかった。落ち着いて準備ができると思います」
さらに4年後へ、こう語る。
「日本の人は、パラリンピックを観たことがない人が多い。テレビでも何でもいいので観る機会が増えれば、パラリンピックにしかない種目もありますし、オリンピックとは違った魅力を感じられると思います。選手としては、世界と戦うにふさわしいパフォーマンスを発揮できる状態を作るためにしっかり準備していきたいです。リオを観ていても、地元の選手が活躍しないと大会が盛り上がりませんから」
層の厚い自由形でしのぎを削り、少しずつ世界のトップに近づいてきた山田拓朗の頂点をめざす4年の日々が、再び始まろうとしている。
山田拓朗Takuro Yamada
1991年4月12日、兵庫県生まれ。3歳で水泳を始め、日本選手史上最年少の13歳でアテネパラリンピックに出場。北京、ロンドンの各大会を経験し、リオデジャネイロ大会50m自由形で銅メダルを獲得した。現在はNTTドコモに勤務。