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山口蛍の生き様が吹き込まれた一撃。
躊躇も雑念もない不器用さの結晶だ。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/10/15 11:30

山口蛍の生き様が吹き込まれた一撃。躊躇も雑念もない不器用さの結晶だ。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

イラク戦のゴールは、山口蛍にとって代表で2得点目。1点目も華麗なミドルシュートで、実はファインゴーラーなのである。

魂のシュートには、山口蛍の生き様が吹き込まれていた。

 真っ直ぐで、器用に立ち回れる人ではない。

 わずか半年でドイツから帰国したことを不甲斐ないと感じたサッカーファンも多いだろう。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が「(日本に)戻ってくることを私は評価していない」と発言したことはメディアでも広く取り上げられた。

 これは筆者の勝手な憶測に過ぎないが、彼のことだから、帰国すると一度心に決めたら揺らぐことはなかったと思う。甘かったとも思わない。これからの自分を考えて、どうしていくべきなのか。周りの声ではなく、ただただ自分の声に従ったに過ぎないのではないだろうか。

 躊躇も、雑念もない。

 それはプレーにもよく表れている。

 持ち味の守備では、自分のポジションを空けて前に出ていってボールを奪い取ってしまう。オーストラリア戦もその鋭い出足で、相手を食い止めていた。

 積極的に、献身的に。きっとあれもこれもと頭には入れていない。ゆえに中途半端なプレーにはならない。だからこそイラクを下したあの一発にも納得がいくのだ。

 2年前の誕生日は、リハビリ中だった。でもあのときがあるから、最高の誕生日が待っていた。

 魂のシュートには、山口蛍の生き様そのものが吹き込まれていた。

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