Number ExBACK NUMBER
川口能活がEURO2016を考察!
「最も自分に似ているGK」とは。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byIttetsu Matsuoka
posted2016/06/20 07:00
4度のW杯を経験した守護神・川口能活。オシム監督および岡田監督時代の日本代表ではキャプテンも務めた。
GKのプレーは経験者じゃないと分からない部分も多い。
「やっぱりGKのプレーって、やったことがある人じゃないと、わからない部分も多いと思うんです。サッカーの試合をテレビで観戦する場合、普通はどうしてもボールに視線が集中してしまうでしょうから。でも、例えばこういうインタビューを通して、読者の方が少しでもGKに興味を持ってくれたり、GKのプレーをより深く理解してもらえるようになれば、僕自身も嬉しいですよね」
『Number PLUS EURO2016 24カ国選手名鑑』に掲載された写真を見ながら、各国代表GKの技術の奥深さと、川口ならではのマニアックなGK観戦術をわかりやすい言葉に変換して語ってくれる。インタビューも中盤に差し掛かったとき、ある選手の写真の上で、川口の人差し指が止まった。
構えのタイプが似ている選手。
「今大会に出場するGKの中で、僕に一番タイプが似ていると言えば“この選手”ですね」
どんなところが似ているのか。
「構えですね。GKの構え方って、選手によって人それぞれなんです。例えばドイツのノイアーは、どちらかと言うと“だらーん”と構えた状態から素早く動く。逆に“この選手”は、腰を低く落とした姿勢から、前後にも左右にも動けるようにする」
確かに写真の構えは、さっきまで練習場で観ていた川口の構えとそっくりだ。
「彼はGKに必要なフィットネスを完璧に備えています。具体的には俊敏性やジャンプ力、ダッシュ力、セービングのキレなど。フィットネスに関しては今大会ナンバーワンでしょうね。実はリヨン時代のプレーを観たときに『似てるな』と思って、彼について調べたことがあるんです。彼は少年時代にテニスをやっていたそうですね。動きの速さやステップワーク、体のキレはテニスの経験が影響しているということを知って、妙に納得しました」
川口が絶賛したとおり、EURO初戦でも「彼」はキレのあるセービングで決定的ピンチを何度も防ぎ、勝ち点3獲得に大きく貢献した。