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優秀な防御率と6~7回の大量失点。
ラミレス監督の葛藤が見える継投策。
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/05/05 09:00
5月1日、6-1で迎えた7回に山口俊からザガースキーに継投するも3点を奪われ、引き継いだ須田もタイムリーを浴び、5点差からの逆転負けを喫した。
6~7回での失点の多さから見えるもの。
こんなデータがある。
DeNAのここまでの総失点は115だが、そのうち6回(21失点)と7回(22失点)の2イニングだけで43失点を記録しているのだ。これは1~5回の5イニング(計44失点)とほぼ同じ多さである。
6~7回といえば、先発の球数が100球前後に達し、継投策を講じるかどうかの判断が問われるイニングだ。疲れや集中力の低下からくる衰えが球質に表れているか否か。相手チームの打順とのかみ合わせ。あるいはブルペンの疲労度や次戦以降を見据えてのチームマネジメントの視点。
あくまで結果論だが、極めて戦略的な采配が必要になる「終盤の序盤」の継投に、DeNAの弱みがあると言える。
6~7回のイニング途中に先発投手が降板したケースはこれまでに10試合あるが、その全てが安打を許した直後の交代だった。「打たれるまでは我慢する継投策」には、ラミレス監督の信念が透けて見える。
ギリギリまで信じ、託す。
開幕直前にインタビューした時(Number899号掲載)、「強いチームになるために選手の意識をどう変えていこうとしているのか」という問いに新指揮官はこう答えていた。
「自信をインプットすることが選手たちの意識を変えていくと思う。ピッチャーは大事な局面で走者を出しても、ブルペンに電話するんじゃないかと心配そうな顔をベンチに向けないでほしい。勝つために次のバッターを打ち取ることに集中してほしい。勝つチャンスが残っている限り、その投手を使い続けたいと思っているからね」
ラミレス監督は、戦術を駆使して勝ちにいくというよりは、ギリギリまで信じ、託すことによって選手の心根に変化が生まれることを期待している――インタビューを終えた時、そんな印象を抱いたものだ。