誰もが手軽に楽しめるシーバス・フィッシング。

奥山　そもそもシーバスのことを教えてください。余計な蘊蓄は要らないですから、簡潔にお願いしますよ。

高　うむ。シーバスとは、北海道南部から九州にかけて広く生息しているスズキのこと。成長するにつれセイゴ（30cm前後）→フッコ（40cm以上）→スズキ（90cm以上）と、呼び名が変わる出世魚だ。俺が中学生の頃は、フッコ釣りだったね。ブラックバスを釣るアングラーが「海で釣れるバス」という意味で、小型も大型もシーバスと呼ぶようになったんだ。

奥山　そのシーバスがなんでまた、大人気なんですかね？

高　ひとつには釣り場が近いってことがある。ブラックバスにしろマス類にしろ、釣り場はかなり離れているからね。その点、シーバスの釣り場は都心からほど近いベイエリアだから、アクセスがとても便利なんだよ。

奥山　そういえば本格登山もやるファッションカメラマンが、「山をひとつふたつ越えた源流で、イワナを釣りますよ」って言ってました。初心者には険しい山登りなんてできませんよ。

高　そのとおり。シーバスの釣り場はクルマで簡単に行けるベイエリアで、しかも足場がしっかりした堤防や河口域だから、初心者でも安全。それに潮の満干のタイミングを見計らえば、初心者が投げるルアーにも容易にヒットするのが、人気の要因だね。

奥山　で、このロッドを試してみたんですね。

カタログスペックどおりのパフォーマンス。

高　このソルティースタイル シーバス〈STSS-862ML-KR〉は長さが8フィート6インチだから、湾岸や河口域でのキャスティングに最適なんだ。ミディアムアクション（※注：中くらいの強さのロッド）だから、7～13cm前後の小魚に似せた軽いルアーから、金属でできた重めのルアーまで投げられるのがいいね。

奥山　さっきも言いましたが、細いのが気になるんですけど……???

高　うむ。俺が盛んにシーバスを釣っていた時代は、ロッドに強度を持たせようとすると、素材のカーボンを厚くしたり、カーボンシートにグラスファイバーを重ねたりしなきゃいけなかった。そうなるとロッドは、おのずと重く、長くなってしまうんだな。でも、素材や製造技術が進化したおかげで、こんなに細くて軽いのに、とても強くてパワーがあるロッドが完成したんだ。それもリーズナブルに。

奥山　なるほど。具体的に言うと？

高　ロッドの表面を見ると、カーボンが螺旋状に巻かれているのがわかるだろ!?　これはカーボンシートを斜め45度＆135度の方向からX状に締め上げ、ロッドの性能を向上させるAbu独自のXカーボンテープラッピングという製法なんだ。竿先が細くて柔らかいから、シーバスがルアーに食いついても違和感を与えないんだよ。でもね、ロッドの中ほどから根元にかけては粘り強い特性を持っているから、デカいシーバスの強い引きにも負けないんだ。

奥山　で、釣れたんですか？

高　先週末、ちょうど満月の大潮の晩に行ってきたよ。ベイエリアには人工の灯が多いから、ナイトフィッシングに最適なんだ。その灯が照らしている海面を狙っていたんだけどサ、向かい風でも軽いトップウォータープラグ（水面に浮かび、水泡や音で魚を誘うルアー）を遠くまで投げられたし、繊細な竿先のおかげでプラグをデリケートに動かすのも簡単だったな。また、重めのスピンテールジグ（お尻に回転するブレードが付いた金属製ルアー）のキャストも容易だったし、そのルアーを水中で気持ちよく動かせたし……。

奥山　ほほう、楽しそうですね。

高　で、そのスピンテールジグを巻いて来ると、突然ガツンというアタリがあったんだよ。すかさずロッドを立てて合わせると、水面でデカいシーバスがジャンプしたんだ。でも、慌てず騒がずじっくりとロッドを溜めれば、このソルティースタイルのトルク感のあるパワーが、じわじわと魚を引き寄せてくれるんだ。で、見事80cmオーバーのシーバスをゲット！

奥山　やった～！　っていうか、高さんが魚を釣った話、初めて聞きましたよ。