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名門・駒澤大学陸上競技部の
カラダ作りの秘密に迫る。
posted2015/12/22 11:00
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph by
Shigeki Yamamoto
――今日はチーム作りとカラダ作りの2つのテーマについて話を聞かせて下さい。今春から新たに藤田敦史さんがコーチとして加わりました。大八木監督から声をかけられたそうですね。
大八木 ちょうど藤田が現役を退くタイミングで、それまでも実業団でコーチを兼任していたし、学生を指導してみたい気持ちがあるのか訊きました。私と今のコではもう、年齢差がオヤジと息子でしょ。イメージが厳しいオヤジみたいになっているから、なかなか気軽に話しかけてこない。だから藤田には兄貴的な役割を果たしてもらいたくて。実際、色んなアドバイスを学生たちにしてくれています。
藤田 駒澤は負けられないチームなので、コーチを引き受ける際には相当の覚悟がいりました。監督がよくおっしゃるのは、自分が厳しい分、お前はよく選手の言うことを聞いてやれと。ですから、なるべく親身になって話を聞くようにしています。
――藤田さんが駒澤のエースとして活躍したのは1996年からの4年間です。学生の気質はその頃とまた変わっているのでしょうか。
藤田 やはり違いますね。今のコの方が競技に対する能力は高いんです。なにより我々の時代とはスピードが違いますし、素晴らしい記録も出すんですけど、その一方で勝負となったときのモロさも感じます。
大八木 器用にできる反面、我慢することがなかなかできない。外で遊んで育っていないから、体もあまり丈夫じゃないしね。言葉ひとつかけるにしても、今のコたちはこっちが昔のジャブみたいな感じで言っているのに一発KOですから(苦笑)。
――器用になった反面、精神的には打たれ弱くなっていると。
藤田 たとえば、すごくキツイ練習をやるとなったときに、今の選手はマイナスにばかり考えます。明日キツイ練習があるなら、今日は早く休もうと。私たちの時代は、明日キツイ練習があるからこそ、今日も走り込んで体に負荷をかけておこうと考えたものです。同じチームにライバルがいて、その選手に勝とうと思えば、ライバルより質の高い練習をするのは当然ですから。
大八木 ただ大学に入って、駅伝を走ってそれで満足なのかということですよね。自分が大学で何をしたいのか。5000mや10000mといったトラック種目で上を目指すのか、マラソンをやりたいのか。そういう選択肢を今は指導者がきちんと教えていかなくちゃいけない。