松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹、英語を公の場でお披露目?
咄嗟にでた「Fore, Right」の一言。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2015/08/06 16:30
サインを待つ子供たちに自ら歩み寄り、最近は言葉を交わすことも増えてきたという松山英樹。身につけた英語力は彼のゴルフ、そして人生をより豊かなものにしていくことだろう。
おそらく公の場で発された松山の初めての英語。
練習ラウンド終盤。17番でラヒリのドライバーショットが大きく右に飛び出した瞬間。「フォア、ライト!(Fore, right!)」という大きな声が響き渡った。
右サイドの落下地点周辺の人々に「気をつけろ!」と注意を促すこの言葉。咄嗟に口にしたのは、驚くなかれ、松山だった。ラヒリのすぐそばに立ち、落下地点の方へ目を凝らす松山は、このときもラヒリの“兄貴分”のように大きく見えた。
周囲にいる誰にもわかる大きな声で叫んだ松山。もちろん、聞こえなければ意味がないから聞こえるように大声で叫んだわけだが、発音が悪ければ、ただの大声で終わってしまう。きちんと理解されてこその一言。ある程度、英語やその発音に自信が持てていなければ、発することが躊躇わられる言葉だ。
その「フォア、ライト!」を堂々と、しかも咄嗟に口にしたことは、彼の英語がかなりのレベルで上達し、英語を話すことに慣れてきていることの表れだ。私が知る限りでは、松山の英語が公の場で発せられた、初めての“お披露目”。オハイオの青空に木霊した「フォア、ライト!」は、彼の着実な前進を示していた。
ともすれば、些細な前進に見えることでも、世界で戦う外国人にとっては大切で不可欠。小さな前進が集まって、大きな自信が生まれるのだから――。