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ディナターレがセリエA通算200点。
“傍流”の男が達成した偉業の真価。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byGetty Images

posted2014/12/11 10:40

ディナターレがセリエA通算200点。“傍流”の男が達成した偉業の真価。<Number Web> photograph by Getty Images

ウディネーゼではキャプテンを務めるディナターレ。170cmと小柄ながら、スピードと繊細なテクニックで得点を量産。

2位に60点以上の差をつける現役得点ランキング。

 カルチョの酸いも甘いも噛み分けたディナターレは、この10月で37歳になった。

 今季の登録選手中、12月7日時点のセリエA通算得点ランキングで、ディナターレに次ぐのは、同い年のFWトーニ(ベローナ)だ。ただし、'05-'06年の得点王トーニにしても、通算132得点で大台への道のりは遠い。その下に控える32歳のFWカッサーノ(パルマ)は、110ゴールをようやく越えたばかりだ。

 昨季の得点王インモービレがドルトムントへ引き抜かれたように、優れたFWは若くして他国リーグへの移籍をくり返す時代だ。ディナターレは、もしかしたら史上最後の200ゴール達成者かもしれない。

「俺はマラドーナのようにはなれない」

 ナポリで生まれ育ったディナターレにとって、憧れはマラドーナだった。小さな頃からの念願叶って、1年前にミラノで本人に会うこともできた。

 ただしディナターレは、自分がマラドーナになろうと思うことはなかった。

 同じく200ゴール達成者で、歴代2位(237得点)のFWトッティに対しても、ディナターレは「フランチェスコ(・トッティ)と同じレースは走れない。目指すところがちがう」と、一歩退いた立ち位置を取っている。

「マラドーナやトッティのような“ヌーメロ・ウノ”は、(グラウンドの内外を問わず)何をやっても許される。だが、それは俺の人生観にそぐわない。俺は、彼らのような“ヌーメロ・ウノ”にはなれないんだ」

 カルチョの世界で“ヌーメロ・ウノ”といえば、英訳の「ナンバー1」というよりも、「頂点に立つ男」や「周囲から突き抜けた超一流選手」といった意味合いが強い。

 この世のあらゆるゴール記録を破り続けるFWメッシ(バルセロナ)とFWクリスティアーノ・ロナウド(R・マドリー)の2大ストライカーも、間違いなく“ヌーメロ・ウノ”だろう。

 彼らが走り続けるところをサッカー界の本流とするなら、ウディネーゼの10番は、サッカー界の傍流に留まり続けたことを誇りに思っている。

「俺にはルールがある。晩の8時半には必ず家に帰り、10時半にはベッドに入る。翌朝7時には起床して、子供を学校に送り届ける。俺は家族との時間を大事に生きている。大記録を達成できた本当の秘訣はこれだと思う」

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