ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
攻撃、守備、そしてサッカー観――。
アギーレと日本の間にある“乖離”。
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2014/10/16 10:40
ブラジルを前に、日本の攻撃は沈黙し、守備陣は蹂躙された。ベストメンバーだったらどうだったのか……、そう想像してしまうことは自然なことであるはずだ。
アギーレの発言は、日本へのアンチテーゼか。
ボラのことを語り始めると話が尽きなくなるので、彼についてはいずれ稿を改めたい。話をアギーレに戻すと、彼が頭に思い描く攻撃は、ブラジル・ワールドカップでメキシコやコスタリカ、チリらが見せた縦のスピードに溢れる、深みのあるものであるように思う。
と、ここまで書いたときに、アギーレがどうして「私にはスタイルはない」とか、私は「哲学を重視しない」というのかがわかった。それは、哲学を重視しないのが彼の哲学であるのを踏まえたうえで、日本人のサッカー観に対するアンチテーゼなのだった。
赤い水で気持ちよくなり、そろそろ書くのが億劫になってきたので今回はこのぐらいにするが、いずれにせよアギーレに関しては、彼がこれまで自分のものとして蓄積してきたものと、日本がここまで時間と労力をかけて構築してきたもの。攻撃、守備、そして何よりもサッカーに対する考え方、捉え方。現状ではあまりにも乖離がある両者を、どうやって近づけて融和させていくか。その点がとても興味深い。