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DH制がダル、田中ら名投手を生んだ?
交流戦でのセパ制度逆転の舞台裏。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2014/04/18 10:40

DH制がダル、田中ら名投手を生んだ?交流戦でのセパ制度逆転の舞台裏。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

DH制の導入に賛成を表明した原辰徳・巨人監督。代打、投手交代の駆け引きも野球の魅力のひとつであったことは間違いないが、指名打者制度によるパワーベースボールにもまた別の魅力が確かに存在する。

好投手の存在が、打者の成長にもつながる。

 そういう環境から育ってきたのが日本ハム時代のダルビッシュ有投手(現テキサス・レンジャーズ)や楽天時代の田中将大投手(現ニューヨーク・ヤンキース)であり、ソフトバンクの攝津正投手やオリックスの金子千尋投手、楽天・則本昂大投手といった生きのいいパ・リーグの好投手たちだった。

「好投手が輩出することで、切磋琢磨して若い打者も育つ。そういう土壌が今のパ・リーグには出来上がっている。逆にセ・リーグは駆け引きや細かいプレーにばかり目がいって、選手の個性を伸ばすという視点が欠けているのかもしれない。昔はそういう野球が好まれたが、今は力があって世界に通用する選手の魅力がファンを引きつける。そのことは昨年の田中人気が証明しています」

 前出のセ・リーグ球団関係者の語るところだ。

 その土壌を作るためにDH制の導入を検討すべきではないか。そういう意見がセ・リーグのいくつかの球団から出ているのも事実なのである。

DH制でのパワーベースボールは受け入れられるか。

 だとすると交流戦という場所を借りた、今回のセ・リーグ本拠地でのDH制の採用は、ファンの反応を含めた一つのムード作りと言うこともできるだろう。

 指名打者制度の導入には、セ・リーグ6球団間でも足並みは揃わず、まだまだ実現までは時間がかかるかもしれない。

 ただ、いみじくも原監督が語ったように、将来に向けて指名打者制度の方がファンに受け入れられるのか、それとも投手が打席に入る9人野球で勝負そのものを楽しむファンの方が多いのか――今回のセ・リーグ本拠地球場でのDH制採用はデータ収集につながるのは確実である。

 もしセ・リーグのファンもDH制によるパワーベースボールを支持する結果がでるとすれば……。この交流戦を契機に、意外と早く制度改革が進む可能性も出てくる。

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原辰徳

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