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羽生、プルシェンコ、チャンが火花。
ライバル意識と敬意が混じる緊張感。 

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野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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photograph bySunao Noto/JMPA

posted2014/02/06 16:30

羽生、プルシェンコ、チャンが火花。ライバル意識と敬意が混じる緊張感。<Number Web> photograph by Sunao Noto/JMPA

練習で好調にジャンプを決めた羽生結弦。同じ時間帯に練習を行なっていたプルシェンコも、羽生の動きに視線を送っていた。

「プルシェンコの存在自体も楽しめるようやりたい」

 その決意は5日、小学生の頃からの憧れエフゲニー・プルシェンコとの初合同練習でも変わらなかった。

「プルシェンコが出場できるなんて、びっくり。でも彼がいることで僕のプログラムが変わるとかではない。僕は僕。プルシェンコの存在自体も楽しめるようやりたい」。そう自らに言い聞かせると、練習を迎えた。

 初のメインリンクと言うこともあり、氷の感覚を確かめるように基礎スケーティングを入念に行う。プルシェンコがすぐにジャンプ練習を始めたが、それに気を取られることなく、淡々と自分の基礎メニューを繰り返した。練習後半になると、4回転トウループをほぼ100%の成功率で成功させ、手応えは十分。翌日からの団体戦・男子ショートに向けて、

「自分自身、感覚が良いですし自信もって、一番若い日本代表として元気のいい滑りをみせたい」と力強く語った。

ライバルたちも着々と。共通するのは「緊張感」。

 一方、プルシェンコも羽生と同じく3日夜にソチ入りしたが、翌4日は「そんなに練習して疲れる必要はない。今日は休養日だ」といって選手村で一日を過ごした。5日のメインリンクが初練習だったが、いきなりジャンプ練習を始めると、練習開始後5分でトリプルアクセルを成功。10分後には4回転トウループ+3回転トウループの連続ジャンプを成功させ、貫禄を見せていた。

 約20分で練習を切り上げると「すべてが順調だ」とひとことだけ残して去っていったプルシェンコ。背中や膝の度重なるケガ、そして31歳という肉体的限界もあるが、すべてのハンデを跳ね返す精神力を感じさせた。

 もう一人の優勝候補、パトリック・チャンは、2月1日から早々に練習を開始。4回転+3回転も好調で、一糸乱れぬ様子で練習をこなしている。

「4年前のバンクーバーの時の僕とは別人になってここに来た。すべてが成長しているし、準備は万端だ」と自信を見せる。

 しかし記者会見では、「ユズルには素晴らしい才能がある。僕が自分に集中して最高の演技を出来るかどうかが重要だ」と話し、強いライバル意識を吐露。またロシアメディアの熱狂的なプルシェンコ報道ぶりを見て「僕があの立場だったら平常心ではいられない。彼の経験と精神力は素晴らしいものだ」と素直に感心していた。

 三者三様の公開練習。共通するのは、4回転が絶好調でありながらリラックスした笑顔は一切なく、これまでのどの大会にも増す緊張感。五輪ならではの空気感に耐えた者が勝者となるのだろう。

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