野球善哉BACK NUMBER
選手の発掘はチーム強化の第一歩。
プロ野球スカウトに正当な評価を!
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2010/12/12 08:00
西岡が夏の甲子園に出たのは2002年のこと。大阪桐蔭高校の3年生にして4番打者であった
スカウティングの正否は必ず数年後に判明する。
今年のベストナイン、各タイトルのメンバーの中には上位指名選手だけでなく、下位指名の選手もいた。セ・リーグの首位打者、6年連続のベストナインを獲ったヤクルト・青木宣親は'03年のドラフト4位指名である。この年は鳥谷敬(阪神)が目玉だったから、多くのスカウトは鳥谷と早大の同級生・青木を見ているはずだが、ヤクルトのスカウトはよく見抜いたといえる。
この他にも、パ・リーグの三塁手でベストナインを獲得した小谷野栄一(日ハム)は'02年のドラフト5位、2年連続で最優秀中継ぎ投手に輝いた攝津正(ソフトバンク)は'08年のドラフト5位である。また、セ・リーグの投手部門を総なめにした広島・前田健太は順位こそ1位であるとはいえ、当時の高校生ドラフト1位指名選手では唯一の単独指名選手だ。田中将大(楽天)や堂上直倫(中日)、増渕竜義(ヤクルト)らに注目が集まる中、一本釣りを成功させたスカウトの眼力は評価されてしかるべきだ。
チーム作りの中核を担うスカウトにより高い評価を!
実際、現場にいると、熱心なスカウトがいる半面、残念な話だが……だらしないスカウトがいるのも事実である。試合をほとんど見ずに、居眠りしているか、しゃべっているだけの人がいる。一生懸命に仕事をこなしているスカウトが、そういう人たちと同じような評価しかされないのはプロではない。
メディアやファンが、あるスカウトの目利きに一目を置くようなことがあっていい、
良い仕事をしているスカウトは美味い飯が食えるというようなことが、実際、あっていい。
そう思うのだ。
スカウトという仕事は、チーム作りの中で重要な役割を占めているのだから……。