野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
これぞ男だ! 涙なしでは読めない、
プロ野球「引退の言葉」傑作選2010。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2010/12/11 08:00
「ロッテ・オリオンズ」時代のユニフォームを着たことがある、川崎球場時代を知る最後の選手だった堀。「(昔は)弱いチームで、優勝したいなど口にできなかった。2005年の優勝は一生忘れない」
「着させていただけるなら」に込められた中村紀の謙虚さ。
最後に、楽天を戦力外になった中村紀洋。オリックスを自由契約にされた'07年と同じ立場へ再び戻ってきてしまった。
「ここで終わるわけにはいかない。ユニフォームを着させていただけるならどこへでも行く」
“着させていただけるなら”。そんな謙虚な言葉の一端には、中村紀が4年前に同じく引退の危機に面した時の辛苦を色濃く漂わせる。最近の新聞報道などでは、近鉄時代の豪快なイメージ、俗に言う“悪いノリさん”が戻ってきているように思えたが、この慎重な言葉遣いは、間違いなく“いいノリさん”である。再びユニフォームをまとい、悪いノリさんと言われるぐらいの豪快さを取り戻してほしい。
以上、ここにあげたのはほんの一例である。今オフ、チームを戦力外となった146名(セ・リーグ87名、パ・リーグ59名)の選手たちは、それぞれが次の道へ進むための選択を進めている。その時、彼らが発した言葉のひとつひとつをもう一度噛みしめてみては如何だろうか。
そして、甚だ僭越ではありますが、1人でも多くの選手が納得できる野球人生を送れるよう、スポーツ新聞の向こう側から祈っております。