野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
あの“フクシ君”が日本シリーズ中継!?
Ustreamでこぼれた落合監督の本音。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byTamon Matsuzono
posted2010/11/09 12:40
“とうちゃん”が心配。本当の姿を知ってもらいたい……。
フクシ氏はCS時の第1回中継でも落合監督から「グラウンドは笑う場所じゃない、俺らの時代はそう教えられたから」、「(本音を)新聞記者に話すわけないじゃない」などの金言を引き出すほか、信子さんからも「(監督が)俺って外国人に関する目利きが甘いよな、と言っていました」なんてセサル……いや、衝撃情報を引き出している。落合監督も、フクシ氏も、信子夫人も、なぜこんなにアグレッシブなのだろうか。
再び担当編集者。
「フクシ氏がこの企画を受けてくれたのも、『とうちゃんはグラウンドではあまりしゃべらないから、世間から誤解されやすいでしょ。だからありのままの姿を世間の人たちに知ってもらうため』と言っています。落合監督は監督で、本当に裏表のない人ですから、今回の出演も発言も、フクシ氏をみんなに可愛がってもらうために俺が一肌脱ごういう心意気からだと思います。いろいろ言われますが、落合家の絆は21世紀の日本には絶滅寸前になってしまった本当に親密な絶対的関係ですよ。他人ではこれらの話を聞きだすことは絶対に無理でしょう。書籍の元になった週刊プレイボーイ誌上での連載をはじめる時にも『週刊誌なんて“あ”と言ったら“不倫”と書かれるとこだぞ』と、落合家の家族会議で監督だけがメディアへの不信感を口にしたそうですし、連載中も『オマエらは何をやりたいのかサッパリわからん。年間の計画表を持ってこい』と、取材姿勢への厳しいお言葉も何度もいただきましたし……」
落合監督の声は、ごくごく普通の優しい父親の声だった。
さて、肝心の日本シリーズ第1戦直後の監督生電話である。フクシ氏と落合監督のやりとりは両者の「あいよ」というフランクな挨拶からはじまった。
その語り口は、甘い。字面では伝わらないほどに甘い。どこにでもいる優しい父親の声である。
フクシ氏 「今、生放送していて1500人ぐらいの人が…」
監督 「1500人しかいないのか? 球場は3万8000人いるのに、そこは1500人か。そらオマエ、さみしぃね1500人ぐらいじゃ~」
フクシ氏 「今日負けちゃったね」
監督 「うぅん」
フクシ氏 「なんで負けちゃった?」
監督 「相手より点数が少ないから負けちゃった」
フクシ氏 「みんなね、監督がショボくれて元気ないんじゃないかって言ってるよ」
監督 「負けていちいちショボくれていちゃこの仕事できないよ。お前じゃ絶対ムリ(中略)シーズン中とこれ(日本シリーズ)意味合いが違うんだ。シーズン中は何個勝たなきゃ優勝できないっていう目安がないだろ。これは4つ勝ちゃいいんだもん。3つまでは負けられるんだ。自動的に」
フクシ氏 「初戦終わってどうだったの?」
監督 「こんなもんだぁ。負ける時はこんなもんだぁ。相手が勢いがあったんじゃない。ウチが下手な野球をやっただけだよ」