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なでしこ達の実情は分かったが……。
米国の女子プロサッカーの現状は? 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph bySports Illustrated/Getty Images

posted2011/08/22 10:30

なでしこ達の実情は分かったが……。米国の女子プロサッカーの現状は?<Number Web> photograph by Sports Illustrated/Getty Images

ウエスタン・ニューヨーク・フラッシュ (WPS) に所属し、アメリカ代表チームで最年少となる22歳のFWアレックス・モーガン選手

アメリカのプロ選手も経済的な苦労はなでしこと同じ!?

 アメリカの女子プロリーグ、WPSでプレーしている選手のサラリーは公表されていないが、「スポーツ・イラストレイテッド」誌によれば、2009年の選手たちの平均サラリーは32,000ドル(7カ月間の契約)だったが、2010年には27,000ドルにまで落ち込んだという。現在の円高レートで計算すると、200万円を少し超える程度でしかない。日本人選手がアメリカに渡ったとしても、すぐに待遇面で改善されるわけではないのだ。

 ただし、GKのホープ・ソロやFWのワンバック、あるいはブラジルのスター、マルタなどは60,000ドルから80,000ドルのプレーによる収入があると見られている。

 これにプラスして、企業との契約が上乗せされる。日本には敗れたものの、ワールドカップの後にソロ、ワンバック、そしてアレックス・モーガンの3人は「バンク・オブ・アメリカ」の支援を受けることが発表された。活動としては、今年の10月9日に行われるバンク・オブ・アメリカが冠スポンサーのシカゴ・マラソンのイベントにも参加する予定だ。

 具体的な契約金額は発表されていないが、プロとして生活していくには大きなバックアップになる。この契約を見ても、いかにワールドカップで活躍することが、彼女たちにとって重要だったかが分かる。

 アメリカの女子サッカーの場合、他のスポーツや経済活動と同じように、「大きく勝つこと」が出来るのである。

女子サッカー大国のインフラを支えるカレッジサッカー。

 それでもプロを目指す女子サッカー選手は、やはり一部でしかない。ある程度、才能に恵まれている選手は大学までプレーするのが一般的である。

 驚くのは、大学のサッカー部の数だ。アメリカは運営規模によってディビジョンが違うが、最高峰のディビジョンⅠの登録チーム数は、2011年1月の時点でなんと322チームもある! 大学生だけで数千人の競技人口がいるのが分かるし、優秀な選手であれば奨学金をもらってプレーしている(授業料、教科書代が支給される)。

 1982年から全国大会も行われており、ノースカロライナ大学、ノートルダム大学などが伝統的に強い。

 大学で図抜けた活躍を見せた選手がプロに進むことになるのだが、カレッジの充実ぶりをみると、「女子サッカー大国」ぶりが浮かび上がってくる。

 それにしても、裾野の違いを見ても、なでしこジャパンはよくぞ勝った……そう実感せざるを得ない。

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