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'05年度アマ注目選手徹底ガイド(1) 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2005/05/27 00:00

'05年度アマ注目選手徹底ガイド(1)<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 5月17日現在、観戦したアマチュア野球80試合の中から抜粋して、目についた選手の評価(寸評)をこれからしばらく続けていく。

(※印は他の目立った選手。選手名の前のアルファベットは総合評価で、Aが最高評価)

◆3/12 JR東日本対日産自動車(スポニチ大会)

高崎健太郎(日産自動車・投手20歳)
右右 175/77
 この日のストレートのMAXは147キロ。但し、一番いいボールは縦のスライダー。ゴロ処理で見せるフィールディングもうまく、完成度の高い本格派。プロ解禁の来年は大騒ぎされているかも。
B 中尾敏浩(JR東日本・中堅手23歳)右左 178/75

◆3/13 シダックス対ホンダ(スポニチ大会)

小山桂司(シダックス・捕手25歳)
右両 175/80
 イニング間の二塁送球タイムは最速1.81秒でほとんどが1.8~1.9秒台という超強肩捕手。打撃は発展途上で課題多い。25歳なのでプロ入りのチャンスは今年のドラフトが最後になるだろう。

◆3/13 JR東日本対新日本石油(スポニチ大会)

坂下真太(新日本石油・左翼手21歳)
左左 176/76
 思い切りのいい初球ヒッティングで長打を連発し、二塁打での二塁到達では8秒台前半を記録する俊足選手。外野からのスローイングもカットマンへの確実な送球など進歩が目立つ。

◆3/13 JR東日本対シダックス(スポニチ大会)

森福允彦(シダックス・投手19歳)
左左 173/62
 左スリークォーターからスライダー、シンカーを駆使して打者を打ち取る技巧の冴えは高校卒1年目とは思えないほど。けん制、クイックは左腕投手らしくヘタクソ。ストレートは130キロ台中盤。
B 中村真人(シダックス・中堅手23歳)右左 175/73

◆3/16 東洋大姫路高対大阪桐蔭高(練習試合Wヘッダー)

平田良介(大阪桐蔭高3年・中堅手)
右右 175/72
 リストの強さを生かし外角変化球のさばきがうまい。「スイングスピードが速くシャッターチャンスが間に合わない」とは、同行した作田カメラマンの言葉。第3打席の二塁打では二塁到達が7.98秒。これは凄い数字。センターからの強肩も超高校級で三拍子揃う。
A 辻内崇伸(大阪桐蔭高3年・投手)
左左 182/83詳細は雑誌『アマチュア野球3号』(日刊スポーツ出版社)参照

◆3/24 駒大苫小牧高対戸畑高(センバツ大会)

田中将大(駒大苫小牧高2年・投手)
右右 185/80
 昨秋の神宮大会では捕手として強肩・強打を披露。投手としてはストレートの低めへの伸びとフォークボールのキレ味が出色。けん制、クイック、フィールディングなどディフェンス全般も素晴らしく、よくないのは腕が外回りするバックスイングくらい。これはヒジが下がる原因になるので要矯正。スライダーは投げる 前から球種がバレバレ。この日のMAXは143キロ。
B 林裕也(駒大苫小牧高3年・二塁手)
右左 177/75

◆3/24 甲府工対神戸国際大付高(センバツ大会)

井内良介(神戸国際大付高2年・中堅手)
右右 174/72
 5回には完全なセンター前ヒットを果敢なダイビングキャッチでアウトにし、6回にはセンターを越えようかという大飛球を背走し、転んでもキャッチ!課題は確実性に欠けるバッティング。

◆3/24 関西高対慶應高(センバツ大会)

松本雅俊(関西高3年・二塁手)
右右 173/74
 捕ってから投げるまで余計なアクションがなく、スローイングは丁寧で速い。脚力は二塁打での二塁到達が9.32秒だから相当物足りない。評判のバッティングは後ろ残り顕著でヘッドが出ない。大学か社会人経由でのプロ入りをめざすべき。

◆3/25 新田高対福井商(センバツ大会)

林 啓介(福井商3年・投手)
右右 183/78
 左肩上がりとバックスイング時の腕の外回りのためヒジが上がらないという課題がある。それでもリリースで“ボールを潰せる”ので、低めに勢いのあるストレートがくる。甲子園球場のスピードガンが表示した初回の147キロはプロのガンでは138キロだった。ちなみにスカウトのガンが弾き出したこの日のMAXは143キロ。勝負球はピンチで多投するスライダー。横変化で、キレ味十分。

◆3/25 修徳高対一迫商(センバツ大会)

磯部 泰(修徳高2年・一塁&投手)
右右 182/82
 この日は全打席で体勢崩していたが、2安打を記録するなど球際の強さを発揮。最も非凡なのはステップ。好打者に共通するゆっくりステップができている。投手としてはこの日の最速が139キロ。一定の速さはあるが野手投げが目立ち、本格化は当分先になりそう。

◆3/25 天理高対柳ケ浦高(センバツ大会)

山口 俊(柳ケ浦高3年・投手)
右右 187/85
 昨秋の神宮大会では左肩が開かないように、低めにボールが集まるようにと、フォーム最優先で投げていたが、この大会ではフォームよりいかに腕を振って投げるかに重きを置いて投げていたよう。この日の最速151キロが自己最高記録。評判にならないがバッティングも素晴らしく、自分のポイントまで呼び込む形を持っている。詳細は『アマチュア野球4号』(6/22発売予定)を参照。
B 眞井翔太(天理高3年・左翼手)
左左 171/68
B 田中克誠(天理高3年・中堅手)
右右 173/69

◆3/26 大産大付高対愛工大名電高(センバツ大会)

内田雄大(大産大付高2年・投手&左翼手)
右右 181/80
 9回の1イニングだけ登板したが、体のバネと腕の振りのしなやかさは中南米の投手のよう。思い切りねじりが入るテークバックが左肩の早い開きを誘発し、ストレートの抜け球多くなる原因。早いうちに直したい。打者近くで鋭く変化するスライダーは天下一品。

◆3/27 東海大相模高対三本松高(センバツ大会)

田中大二郎(東海大相模高2年・一塁手)
左左 178/78
 見る試合すべてでホームランを打ってくれるスーパースラッガー。トップまでの打撃の流れ、インパクトに向かっていくバットの軌道など文句のつけようがない素晴らしさ。一塁手としては規格外の強肩。マウンドに立てば左腕本格派という“もう1つの顔”があるので、当然といえば当然。特徴のない走塁だけに物足りなさがある。

◆3/27 育英高対東邦高(センバツ大会)

若竹竜士(育英高3年・投手)
右右 178/68
 背中を打者に見せる変則投法(昨秋の兵庫大会決勝で見たときより体のねじりは抑えられている)でもバックスイングでは腕が内側から回り、トップ時にヒジが高い位置にあるというのが非凡。球速は145キロを記録し、低め、内角に集められるのもプラス評価。課題は特徴のない変化球。フィールディングはうまい。
木下達生(東邦高3年・投手)
右右 183/87
 若竹とは反対に、バックスイングで腕が外回りする。腕の振りが体から遠く、右打者の外角にボールが集まるところが不満材料。スライダーは大小2種類あり、キレがいいのは小さいほう。けん制、クイックは超高校級で、ボール球の使い方もうまい技巧派の素質。
B 水野裕希(東邦高3年・捕手)
右右 180/76
B 近藤竜二(育英高3年・遊撃手)
右左 175/62

◆3/28 沖縄尚学高対青森山田高(センバツ大会)

柳田将梨(青森山田高3年・投手)
左左 178/89
 胸の張り、ヒジを使える柔らかさなど投球フォームのよさに目が奪われるが、3回3分の1投げて被安打11、失点11で沈没。ストレートの速さは143キロを記録するが、このストレートが狙い打ちに遭う。変化球のキレと低めへの伸びとコントロールが重要だと再認識した試合。柳田に勧めたいのはダイエット。太りすぎ。
C 比嘉将太(沖縄尚学高3年・三塁手)
右右 181/75
C 山内慎之介(沖縄尚学高3年・遊撃手)右右 165/64

◆3/29 星稜高対神村学園(センバツ大会)

天王寺谷 亮(神村学園3年・一塁手)
右左 180/70
 バットの引きが大きく、ヘッドが深く中に入るというクセの強さ。さらにヘッドを出すというより、ボールを線でとらえようとバットを押していくバッティング。選球眼のよさや長打力は魅力だが、これだけクセが強いとプロも頭を悩ましそうだ。

 さて、次回はセンバツ以降に見た関西学生リーグから4月半ばの神奈川大会(高校野球)くらいまで紹介できると思う。マスコミでほとんど紹介されていない、隠れた逸材もいるので、楽しみにしてお待ちいただきたい。

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