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調子は上々、2005年に向けてまずまずのスタート
text by
西山平夫Hirao Nishiyama
photograph byAFLO
posted2005/01/18 00:00
11月23日、スペインはバルセロナから始まったオフシーズン・テストが12月12日、同じくスペインのヘレスで終幕。F1界は待望のクリスマス休暇に入った。
今年のオフテストは2005年に発行される新レギュレーション対策の影響で、チームによってマシンの状況が大きく異なり、マクラーレンやザウバーなどはほぼ2004年仕様のまま走ったため好タイムを連発、2005年仕様に近いフェラーリに1秒近い差をつけた日もあった。2005年レギュレーションは空力パッケージを2004年よりずっと効率を悪くしており、フェラーリが遅いのは当たり前。言い換えればマシンによってそれぞれ空力的ハンデが異なり、タイムを額面通りに受け取るわけにはいかないのだ。
そんな中で最も強いハンデを自らに課していたのがBARホンダで、走り込むたびに周回数こそ多いもののタイムは下から数えた方が早いほど。それもそのはず、持ち込んだマシンはダウンフォースが2004年車より30%近く減少しているという。それだけに開発が進むとどこまで伸びるかという楽しみがあるわけで、フェラーリもBARホンダを最も警戒していたという。
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BARホンダといえば佐藤琢磨がバルセロナで3日間(163周)、ヘレスで6日間(481周)と、精力的に走り込んでいたのがめだった。琢磨本人は「ボクの中では2004年シーズンは終わっていて、2005年がスタートしていないのに走っている不思議な感覚。F1マシンを走らせるのは大好きな仕事だけど、いまはテストのためのテストで、どうでもいいっていうか、空白の状態で走ってる。集中して“行くぞッ!”っていう気分じゃない」という。要はまだ気分が“ノッテ”来ないのだろうが、嬉しかったのはバーレーンで痛めた右肩(深部の腱)に問題が起きてないというコメント。
12月10日〜12日のヘレス最終テスト直前には「よくなりました。炎症が引いて痛みがなくなったんです。治すには5週間安静にしなさいということで、いまは恐々使っているところですが、チームも負荷がかからないプログラムを組んでくれてます。この上は怪我をせずいい筋肉を作ることが大事で、12月いっぱい身体を戻して、2005年の1、2月にしっかりトレーニングしたいと思います」と語ってくれた。
2004年、F1を活性化してくれたヒーローの2005年に大いなる期待をかけてよさそうである。