スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
トゥロと黄金世代。
~'05年ドラフト組の大化けに期待~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2011/04/24 08:00
昨年は自身初の3割をマーク(.315)、遊撃手としての評価も高いトゥロ
まだ10分の1、というべきか。それとも、もう10分の1、というべきなのか。
2011年の大リーグは、早くも先を読みづらい展開になっている。
といっても、半数は順調に来ている。フィリーズ、レッズ、レンジャーズ、ヤンキースといった有力球団は着実に白星を積み重ね、貯金を増やす態勢を固めているのだ。
だが、波瀾要因もはっきりと表面化した。
ア・リーグでは、レッドソックスとツインズが大きく躓き、無印のインディアンズが絶好調だ。とくに、大本命と目されたレッドソックスの不調は眼を覆いたくなる。鍵を握ると思われた松坂とラッキーが乱調をきわめている上、打線もさっぱりふるわない。暖かくなればもう少しは打ち出すだろうが、14戦して4勝10敗の成績を予想した人はほとんどいなかったのではないか。
ナ・リーグで目立つのは穴馬ロッキーズの躍進だ。15戦して12勝3敗。わけても4月中旬、メッツに4タテを食らわせたときは主砲トロイ・トゥロウィツキーが大爆発した。
トゥロが4試合で16打数10安打。4本塁打8打点5得点4四球の大爆発!!
長い名前なので、アメリカの野球好きは彼を「トゥロ」と呼ぶことが多い。
1984年10月、カリフォルニア州の生まれ。トゥロはこの4戦で全試合に本塁打を放った。これはメッツの本拠地シティ・フィールドが開場して以来の新記録である。いままでは、ゲイリー・シェフィールド、マーク・レイノルズ、デヴィッド・ライトの3試合連発が最多だった。
トゥロは、4戦で16打数10安打と弾けた。加えていうなら、8打点、5得点、4四球の大暴れである。
もともと固め打ちをする傾向はあったが(2010年の9月前半にも15試合で14本塁打と爆発した。その間のロッキーズは13勝2敗と快進撃をつづけた)、素質や年齢(26歳)からいっても、そろそろ大化けしておかしくない時期にさしかかっている。ナ・リーグMVPの有力候補と呼んでも、早とちりのそしりを受けることはないだろう。
いや、そういいつつ、私の頭のなかではもうひとつの言葉が点滅をはじめている。
2005年ドラフト組、という言葉だ。