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センバツで話題の《飛ばないバット》問題 選手に聞いた“ホントのトコロ”…「打球が急失速」「根っこはヒットになりにくい」「芯は意外に飛ぶ」 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byJIJI PRESS

posted2024/03/29 11:04

センバツで話題の《飛ばないバット》問題 選手に聞いた“ホントのトコロ”…「打球が急失速」「根っこはヒットになりにくい」「芯は意外に飛ぶ」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

今大会から新基準となり選手間でも「飛ばない」と話題のバット。1回戦を終え、ホームランは神村学園の正林輝大 (写真)など2本に留まる

守備位置も「打球が飛ばない」前提で

◆橋本友樹内野手(兵庫・報徳学園高)

「ゴロもフライも、強い打球が来るときは来るけど弱い時は弱いと感じました。2ストライクから逆方向のバッティングをされてきたので、そういう場面では(ショートの自分は)右バッターならセンター方向、左バッターならレフト方向への意識を強めないといけないと思いました」

◆郷壱成外野手(三重・宇治山田商高)

「(レフト守備で)より前に守ることを意識するようになりました。バックホームをするような場面では、ゴロで抜けてくる打球がちょっと弱かったので、より前に守るようにしています」

◆モイセエフ・ニキータ外野手(愛知・豊川高)

「ホームランを打った打席がそうでしたけど、バットの芯で捉えると長打が出るというか。でも、いいスイングができたとしても、ちょっと詰まると外野の頭を越えなかったり、対応できなかったりしたところが多かったです。まだ扱いが難しいです」

◆専徒大和外野手(石川・星稜高)

「打球が飛ばないことはわかっていたんで、フライを上げるのではなく、ゴロとか低く打つことを常に意識しています。ライナー系は伸びる印象がありました」

◆高橋亘史外野手(石川・日本航空石川高)

「捉えられたと思った打球でもセンターの正面だったり、ランナー一、二塁の場面でも三塁やホームで刺しやすくなったりすると思ったので、定位置より前にポジションをとっていました。後ろの打球のケアだけ気を付けるようにしていました」

◆風本采弥三塁コーチャー(青森・青森山田高)

「(ランナーが二塁にいる場面で)外野が前に守るようになったので正面の打球はなかなか回せなくなりましたけど、左右に逸れたらボールを捕った後に投げにくい体勢になるので『行ける』と思ったら回すようにしています。バットが変わってから自分で判断するようになりましたけど、コーチャーのセンスが大事になってくるのかなと思っています」

 道具が変わり、選手たちは対応するべく技術を磨く。それは高校野球の変遷でもある。

 前年までの旧基準バットが採用されたのが2001年の秋。翌年のセンバツでは14本だったホームランは、夏には43本と3倍にも増加と、適応を証明した実績がある。

 試行錯誤の春を経て夏へ――。

 高めた技量、新たな個性。新基準バットは確かな改革をもたらすはずである。

<監督編を読む>

#2に続く
センバツ甲子園“飛ばないバット”騒動…現場の監督たちはどう見た?「フライは失速、ライナーは伸びる」「木製バットに近づいた」「値段が高い」

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