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「日本人記者の質問には答えない」「まさかの平壌開催中止にも表情を崩さず…」日本代表が苦戦した北朝鮮監督の“不敵な無表情会見” 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2024/03/23 17:02

「日本人記者の質問には答えない」「まさかの平壌開催中止にも表情を崩さず…」日本代表が苦戦した北朝鮮監督の“不敵な無表情会見”<Number Web> photograph by JFA/AFLO

3月21日の日本戦後、記者会見に臨むサッカー北朝鮮代表のシン・ヨンナム監督。日本人記者の質問には“素っ気ない回答”を繰り返した

 進行役が「それでは……」と言うと、シン監督の声が記者会見場に響く。答えはまだ終わっていなかったのだ。

「次節におきましても、同胞のみなさんが送ってくれた声援を肝に銘じて、同胞のみなさんの思いを背負って、いい結果を残したい」

「平壌開催中止」まさかの展開にも無表情

 2月のパリ五輪女子アジア最終予選でも、同じような光景があった。北朝鮮のリ・ユイル監督は、日本メディアからの質問を定型文のような答えでさばいた一方で、自国に好意的と思われるメディアの質問にはたっぷりと時間をかけ説明した。

 朝鮮新報の質問に答えると、シン監督の表情から急激に熱が抜けていく。日本メディアからハーフタイムの指示について聞かれると、「戦術的なことをここでお話しすることは、控えさせていただきたい」とかわした。身振り手振りもない。

 この日の試合中には、北朝鮮側が26日のホームゲームを平壌で開催できないと明らかにした、との報道があった(22日夜、正式に開催中止がアナウンスされた。今後の取り扱いは未定)。記者会見と並行して行なわれている囲み取材では、日本サッカー協会の田嶋幸三会長が「北朝鮮側から今日午前に、アジアサッカー連盟に連絡があった」と話している。

 北中米W杯アジア2次予選はこの日までに3試合を終え、日本が3連勝で首位、シリアが1勝1分1敗で2位、北朝鮮は1勝2敗で3位となっている。彼らにとって26日のホームゲームは、3次予選進出のためにも負けられない一戦だ。平壌で開催されないことはもちろん、新たな開催候補地がどこなのかまで、なんらかの情報がチームに伝わっていても不思議ではない。

 ところが、日本のメディアからホームゲームについて質問を受けたシン監督は、無表情のままだ。あらかじめ用意していたように、こう話した。

「今後のことは様子を見ていきたいと思います。私がこの場所で言及するのは避けたい。今後の流れ、成り行きについては、みなさんに注視していただけたらと思います」

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