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西谷監督が“甲子園最多タイ”の68勝目…大阪桐蔭なぜ今年も強い? 節目の大舞台で先発《154キロ右腕》平嶋桂知が「背番号1」を背負う“納得のワケ” 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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posted2024/03/23 11:07

西谷監督が“甲子園最多タイ”の68勝目…大阪桐蔭なぜ今年も強い? 節目の大舞台で先発《154キロ右腕》平嶋桂知が「背番号1」を背負う“納得のワケ”<Number Web> photograph by JIJI PRESS

今大会で大阪桐蔭のエースナンバーを背負う平嶋桂知。187cmの長身で鞭のようにしなる腕から投じられるMAX154kmの速球が武器

2018年の春夏連覇に憧れ大阪桐蔭へ

 東京出身の平嶋が大阪桐蔭に強く惹かれたのは、根尾昂や藤原恭大らを擁して2度目の春夏連覇を達成した2018年だという。

「小さい時からずっと見ていて『強いな』と思っていたんですけど、2018年の試合をテレビで観て『ここでやりたい』と憧れました」

 中学時代に所属していた稲城シニアで監督を務める森川博紀は、平嶋が高校野球屈指の名門校での挑戦を打ち出した際、「大丈夫か?」と少しだけ訝しがったのだという。

 ただ、同時に「平嶋なら」と期待できるバックボーンも、森川は知っていた。

「真面目な性格なので決められたメニューをちゃんとやるのは当然ですけど、桂知は賢い選手でもあるので考えて練習できるんです。それに、いつも高みを目指しているから『意識の高い選手が多い大阪桐蔭でも伸びるかもしれないな』と思っていましたね」

 大阪桐蔭では1年生の秋からベンチ入りし、2年時には現時点での最速となる154キロを叩き出し一躍、脚光を浴びた。最上級生となった秋からはエースナンバーを背負い、公式戦でチームトップの10試合、48回を投げセンバツ出場の中心的な役割を果たした。

 だが、平嶋は納得しなかったという。それどころか、「不甲斐ない」と自らを戒める。

「神宮大会で敗けてしまったり、エースとしてまだまだでした。『絶対的なエースになるんだ。一番になるんだ』と思いました」

 平嶋には目指すエース像がある。

 1年生の秋から実質的な主戦としてチームを支えた前田悠伍だ。

 今年、ドラフト1位でソフトバンクに入団した先代エースの背中から、マウンドで体現すべき要素を平嶋は学んだのだという。

「前田さんはどんな場面でも動じず、勝利に導くピッチングをしていたんで、自分もそういう存在になりたいとずっと思っています」

 エースとしてのメンタリティを下支えする技術面でも、平嶋は精力を注いだ。力任せになることもあったピッチングを踏まえ、シーズンオフに下半身主導のフォームに改善した。

【次ページ】 大阪桐蔭の背番号「1」が持つ意味は…?

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