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度会隆輝は「素直にすごい」「でもやっぱり負けたくない」同期ドラ4・石上泰輝が語る、度会との絆「実は野球を辞めようと思ったことも…」 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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posted2024/03/25 11:08

度会隆輝は「素直にすごい」「でもやっぱり負けたくない」同期ドラ4・石上泰輝が語る、度会との絆「実は野球を辞めようと思ったことも…」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

徳島商から東洋大を経て、2023年ドラフト4位でDeNAに入団した石上泰輝。右投げ左打ちの原石は今季、どんな輝きを見せてくれるか

「最初は小力(こぢから)があるタイプなんて聞いていたんですけど、全然そんなことなくて、石上はパワーヒッターですよ。全身が筋肉の塊なんです。それでいて走力もあるので、興味深いですよね」

 確かに石上のボディは、分厚く、いかつい。身長172cm、体重85kgと数字上は決して大きくはないが、近くにいると威圧感を放つ肉体をしている。訊けば、高校時代(県立徳島商)は体の線が細く、東洋大に入ってからフィジカルの基礎を作り上げるためにウエイト・トレーニングに本格的に取り組んできたという。驚くべきことにベンチプレスのMAXは140kg、デッドリフト(ヘックスバー)はMAX260kgとプロ野球選手としては破格の数字を叩き出している。

 石井コーチは続ける。

「単純にあのパワーはすごいと思います。ただ逆に、その力が打撃の邪魔をしている部分もあるので、もう少し柔らかくというか、少し力を抜くことを覚えれば、さらに成長するんじゃないですかね。だからその辺も、実戦を通して身に付けていける選手だと思います」

どこのポジションであろうが…

 習うより、慣れろ。石上と会話をしていても頭の回転が速く、感覚と思考がリンクしているのがわかるので、確かに実戦こそ最大の学びの場なのかもしれない。

 守備に関して石井コーチは「担当外だから」と明言は避けたが、次のようなことを教えてくれた。

「バッティングの指標は高いので、そこをどう捉えて、どのような方向で使っていくかですね」

 本人は本職のショートにこだわりがあるというが、一方で「どこのポジションであろうが今は必死にアピールするだけです」とも語っている。走力もあり守備範囲も広く、肩も強い石上が、ライバルが多い内野で今後どのような起用をされるか注目したい。

大学に行ってなかったら、きっと野球を辞めていた

 まだスタートしたばかりのプロ生活。小学校2年生から野球を始め、幼い頃は誰もがそうだったように「プロ野球選手になりたい」という淡い気持ちを抱いていた。そして今、石上は夢の入口に立っている。

「実は一度、野球を辞めようと思ったことがあったんですよ」

 石上は、感慨深い表情で言った。

【次ページ】 宮本慎也氏からの金言

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