Number Do MoreBACK NUMBER

松坂世代最後の現役選手・和田毅43歳は、なぜ年々進化できるのか? 2年前に起きた体調の変化「登板日の朝に限って…」

posted2024/04/11 11:00

 
松坂世代最後の現役選手・和田毅43歳は、なぜ年々進化できるのか? 2年前に起きた体調の変化「登板日の朝に限って…」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto / Takuya Sugiyama

text by

君塚麗子

君塚麗子Reiko Kimizuka

PROFILE

photograph by

Kiichi Matsumoto / Takuya Sugiyama

'22年のシーズン中に体調の不安を抱えていたという和田毅投手。山田悟医師に相談し、食生活を改善したら「劇的に良くなった」と言う。どんな食事法に変えたのか話を聞いた。

――和田さんは'22年のシーズン中、実は体調に関する不安を抱えながらプレーしていたと伺いました。

和田 そうなんです。登板日の朝に限って毎回体調が優れないことが続いたんです。とても投げられるような状態ではないという日もあって……。まず、朝起きると体が重たく感じるところから始まるんです。起きること自体がツラく、11時ぐらいになっても布団から出られないこともけっこうありました。まあでも、緊張感とか、そういう影響があるのだろうと思っていたんです。

山田 体調が優れないのは登板日の朝だけだったというお話でした。

和田 はい。それで、何が原因なのか考えて。思い当たるのは前日に摂った食事だったんです。

山田 それがカーボローディング(1)だったんですよね。

和田 それしか思い当たることがありませんでした。翌日の試合のためにしっかりエネルギー補給しようと思い、パスタやどんぶりご飯などをたっぷり摂っていたんです。でも、もしかしたらそれが裏目に出て、体調を悪くしているのかもしれないと、だんだん思い始めて。それで、知人を通じて山田先生を紹介してもらい、シーズンオフに相談に乗っていただきました。

山田 登板前日の食事内容や翌朝の状態を伺って、これはカーボローディングによる血糖値の乱高下(2)が起きているのではないかと察しがつきました。実は私自身、学生時代にアイスホッケーをやっていたときにカーボローディングを行なって同じような経験をしたこともあるんです。医者になってからも、同様の症状を訴えるアスリートの方が非常に多いことに気付いていました。

――カーボローディングすると血糖値の乱高下が起きる。そしてそれによって体が重たく感じるということですか?

山田 そうです。炭水化物(糖質)(3)をたくさん食べたことによって血糖値が急激に上がり、さらにその後のインスリン分泌によって今度は血糖値がぐっと下がります。これが“乱高下”で、このときに疲労感やだるさなどを感じる人が多いんです。和田さんの場合は、それが翌朝起きたときの体調不良となって表れたのではないかということです。

和田 僕も、前日の食事が影響しているのかなと想像はしていたんですけど、炭水化物がそこまで体調に影響するのか? と最初はちょっと半信半疑的なところもありました。

山田 それで、血糖を測定できるリブレ(4)を着けることを提案しました。どのような食事を摂るとどのように血糖値が上がったり下がったりしているのか観察してみましょう、と。

和田 実際にリブレを着けてみて想像以上の数値に驚きました。ある程度上がるだろうなと思っていましたし、そういうものなのだろうと、ちょっと実験してみようと思って、空腹の状態で小さなおにぎりを2個食べてみたんです。すると血糖値が178mg/dLまで上がって。これには驚きました。小さなおにぎり2個でこれだと、パスタとどんぶりご飯を食べた後は200を超えるのではないか? と。

【次ページ】 カーボローディングを止めて体調が劇的に変わった

1 2 3 4 NEXT
和田毅
山田悟

プロ野球の前後の記事

ページトップ