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「大阪桐蔭に“0対40”で大恥をかく…」21世紀枠・別海のウラ話「町長に直訴…牛の品評会場が練習場に」センバツ決定の瞬間に完全密着 

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柳川悠二

柳川悠二Yuji Yanagawa

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posted2024/01/28 06:00

「大阪桐蔭に“0対40”で大恥をかく…」21世紀枠・別海のウラ話「町長に直訴…牛の品評会場が練習場に」センバツ決定の瞬間に完全密着<Number Web> photograph by Yuji Yanagawa

センバツ21世紀枠に選ばれた別海(北海道)。発表当日を記者が完全密着した

町長に訴えた「今のままでは大阪桐蔭に0対40で負ける」

 昨年12月に北海道の21世紀枠推薦校に選ばれた段階で、島影監督は別海町役場を訪れ、町長にこう陳情した。

「もし21世紀枠に選んでいただいて、もし大阪桐蔭と対戦することがあれば、今のままでは0対40で負けて大恥をかいてしまいます。センバツ出場を見据えて、室内練習場を作っていただけませんでしょうか」

 町長も監督の提案に理解を示した。すぐにプロジェクトはスタートし、12月中には牛の品評会や町のお祭りに利用されていた「別海町コミュニティセンター」を室内練習場に改造することが決まった。

「そこからは中道のお父さんが漁師仲間に声をかけてくださり、野球部と関係のない漁師の方々にも協力をいただき、防球ネットを縫い合わせてくれたんです。12月には完成し、1月6日の初練習から使用を開始しました」

「うーん、今のところは0対25ぐらい」

 甲子園常連校に大敗する——そうした恐怖を、21世紀枠に選ばれる学校の指導者は毎年、口にする。練習環境が整いつつある別海の指揮官として、差は埋まりつつあるのだろうか。

「うーん、今のところは0対25ぐらいではないでしょうか」

 そう笑いながら、島影監督は撮影を終えて体育館に戻ってきていたナインの歓喜の渦に加わった。

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