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「兄の賭博問題でヤジも」大谷翔平より“高評価だった”元ソフトバンク笠原大芽…博多ラーメン店で働く今「二軍慣れしていた」「常連客から店長に」 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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posted2024/02/03 11:00

「兄の賭博問題でヤジも」大谷翔平より“高評価だった”元ソフトバンク笠原大芽…博多ラーメン店で働く今「二軍慣れしていた」「常連客から店長に」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2012年12月、ソフトバンクからドラフト指名を受けた笠原大芽(福岡工大城東高)

泊まり込みでスープ作りも…店長の今

 引退後は球団職員として野球振興部に属しアカデミーの講師などをしたが、1年限りで退職した。その後は沖縄にわたり飲食店で働いた時期もあったが、「麵屋たいそん」が従業員を募集していると知った。オーナーとは以前から顔なじみ。何より、笠原自身が同店のラーメンが大好きで常連客だった。

「引退する間際には社会人野球からお誘いもありました。もし、その道を選んでいたら、野球を続けながらスーツを着て会社に通っていたのでしょうね。結構有名な会社でした。だけど、正直そんな自分が想像できない(笑)。球団職員を離れた時も何か目的を持っていたわけではなかったですし、飲食に興味があったわけでもなかったんですけど、自分の好きなラーメンだったし、お世話になっていた地元の先輩だったので、そこでやってみようと直談判しました」

 店は午前11時オープンで、閉店は曜日によって午前0時か1時。前後に仕込みや後片付けがある。1日14時間ほど店に滞在するのはザラだし、ときに泊まり込んで店自慢のスープづくりを行うこともあるそうだ。店長に就任した今では、管理業務も担う。

 笠原は「大変ですよ」と苦笑いする。しかし、彼の言葉や姿勢から無我夢中でそして真摯に向き合っているのが明確に伝わってきた。

 正直、野球選手だった頃よりも……。

「多分そうですね(笑)。だってお客さんが目の前にいる。どれだけ大変でも、きつくても、やらないといけない。正直、仕事自体が楽しいとは思わないけど、終わった後の達成感が今はものすごくあるんですよね」

 意識の差がプロで活躍できるかできないか――プロ野球で学び得た人生訓を、笠原はこれからのステージで生かそうとしている。

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