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日本代表の“伝統的な弱点+大型FW不在問題”をワシントンが斬る「ウエダからは“俺がやるんだ”と感じるが…」「このメンタルは克服すべき」 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byHiroaki Sawada/Kiichi Matsumoto

posted2024/01/22 11:00

日本代表の“伝統的な弱点+大型FW不在問題”をワシントンが斬る「ウエダからは“俺がやるんだ”と感じるが…」「このメンタルは克服すべき」<Number Web> photograph by Hiroaki Sawada/Kiichi Matsumoto

ワシントンが高く評価する上田綺世。日本代表を含むフットボールの印象を聞いた

「子供時代の憧れの選手だったジーコが監督を務めていたから、特別な関心を持って眺めていた。ナカタ、オノ、ナカムラ(中村俊輔)ら洗練されたテクニックを持ち、豊かな創造性を備えた選手が多く、見ていて楽しいチームだった。

 2006年W杯では良い結果を期待していたが、初戦でオーストラリアに逆転負けを喫したのが痛かった。先制したにもかかわらず、追いつかれてリズムが狂い、ズルズルと失点を重ねてしまった(注:オーストラリアに1-3の逆転負け。1分2敗でGS敗退した)」

日本代表は“伝統的な弱点”が出てしまうことがある

――その後、日本代表を眺めていて、どこがどう進歩してきたと思いますか?

「2010年W杯南アフリカ大会は攻守のバランスが取れたチームで、見事な戦いを見せた(注:GSを2勝1敗で突破。ラウンド16でパラグアイと0-0で引き分けた末、PK戦で敗れた)。2014年ブラジル大会のときも非常に良いチームで、大いに期待していたんだけどね。コンディション調整に問題があったのかな。

 2018年ロシア大会ではGSを突破し、ラウンド16で強豪ベルギーを2-0とリードしたよね。ところが、その後、失点を重ねて逆転負け。2006年大会のオーストラリア戦と同様、日本人選手の伝統的な弱点が出てしまった」

――伝統的な弱点とは、どういうことでしょうか?

「Jリーグの試合でもしばしば起きたんだけど、90分間を通じてしっかりと戦えば力量的に勝てるはずの相手だったり、先制して優位に試合を進めていたのに、1点取られると精神的なバランスを崩す。そこからミスを連発して自滅することが多い」

――他のブラジル選手からも、全く同様の指摘を受けたことがあります。なぜそのようなことが起きるのだと思いますか?

「自分たちのプレーに確固たる自信がないのかな。あるいは、完璧を求めすぎるのか……。フットボールにはミスが付きものなのに、ミスをしたことを必要以上に気にして萎縮してしまう。このメンタルの問題は、日本人選手が克服すべき課題の一つじゃないかな」

強国に勝ちながら中堅国に負けてしまってはいけない

――2022年カタール大会では、強豪ドイツに逆転勝ち。コスタリカには敗れたものの、スペインにも逆転勝ちを収めてGSを首位で突破しました。

「素晴らしかった。ドイツにもスペインにも先制を許しながら、そこから追いつき、さらに追い越したのだから大したものだ。これからは自分たちがリードしている状況で、失点しても冷静にプレーを続けることを学んでもらいたい。また、せっかくドイツのような世界有数の強国に勝ちながら、(コスタリカのような)中堅国に負けてしまってはいけない」(※取材後に開幕したアジア杯、日本代表はベトナムに4-2と勝利したものの、2戦目のイラク相手に1-2の敗戦を喫した)

――カタールW杯以降、今年のアジアカップ開幕前まで、日本代表は11戦して9勝1分1敗。得点41、失点8(注:1試合平均では得点3.7、失点0.7)。ドイツをアウェーで4-1で倒し、トルコに4-2、ペルーにも4-1と快勝するなど、欧州や南米の中堅かそれ以上の国に対しても堂々たる戦いをしています。

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