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「自然に涙が出ちゃいました」三浦佳生18歳が会心の演技! でも不満を口にしたワケ…世界選手権代表の発表は「焼肉食べながら待ってました」 

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野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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photograph byAsami Enomoto

posted2023/12/27 17:36

「自然に涙が出ちゃいました」三浦佳生18歳が会心の演技! でも不満を口にしたワケ…世界選手権代表の発表は「焼肉食べながら待ってました」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

フィギュア日本選手権で体調不良のなか4位となった三浦佳生。会心の演技と自己評価するも、採点基準については不満も口にした

「皆の状態が良いので、良い演技をしてくるのは予想していました。今回は4回転ループを抜いて(不安要素を減らし)少しでも良い点数を狙おうと思っていました」

 GPファイナルでは、4回転ループに挑戦することで“らしさ”を見せたが、今回は必死に表彰台に食らいつかなければならない試合。待望の4回転ループの代わりに、無敵とも言える「トリプルアクセル+オイラー+3回転サルコウ」を1本目に持ってきた。抜群のスピードと飛距離を誇る、三浦の3連続ジャンプである。

「自然に涙が出ちゃいました」

 冒頭、その得意技で「進撃の巨人」のパワフルな世界観を一気に創り上げた。続く4回転トウループは耐える着氷で連続ジャンプに出来ず、4回転サルコウはステップアウト。しかし、縮こまるどころか、後半になるほどジャンプの飛距離を伸ばしていった。基礎点が1.1倍になる演技後半には、リカバリーで「4回転トウループ+3回転トウループ」を成功。「+5」をつけたジャッジが2人いるほどの雄大な飛躍で、このジャンプだけで18.73点を稼いだ。

 見せ場のコレオシークエンスは、持てる力を振り絞ってスピードを上げる。ここは三浦が「自分自身は(「進撃の巨人」に登場する)ライナーに一番似ているので、その疾走感を出したい」と語る場面。ライナーになりきって、リンクを駆け抜けた。

 満場のスタンディングオーベーションのなかリンクサイドに戻ると、佐藤紀子コーチが目をうるませて迎え入れる。

「自分よりも先生が、もう倒れそうなくらいヘトヘトになってました(笑)」

 得点はフリー186.17点、総合280.08点で、その時点で首位に。思わず涙が溢れ、うつむくと、佐藤コーチに頭を撫でられた。

「今回は体調不良などいろんなトラブルがあったので、やり切れたと思ったらほっとして、自然に涙が出ちゃいました」

「やり切ったのに…悔しいです」

 その後も全選手が好演するハイレベルな大会となり、総合4位に。それでも、達成感に満ちた顔でインタビューに現れた。

「内容としては満足行ってますし、笑顔で終わることが出来ました。すごくレベルの高い試合で、自分も堂々と滑って、こんな争いが出来たことは幸せです」

 でも――といって続ける。

【次ページ】 「やり切ったのに…悔しいです」

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