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キタサンブラックvsサトノダイヤモンド、2度の激闘をアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』はどう描いたか?【ウマ娘考察#5】 

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屋城敦

屋城敦Atsushi Yashiro

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photograph by©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会

posted2023/12/01 18:00

キタサンブラックvsサトノダイヤモンド、2度の激闘をアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』はどう描いたか?【ウマ娘考察#5】<Number Web> photograph by ©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会

史実でも2度の激闘を繰り広げたキタサンブラックとサトノダイヤモンド。ウマ娘の世界線ではどのように描かれたのか

「勝ち方に一意専心したい。」の元ネタは…?

『ウマ娘』の劇中には、さまざまなポスターが貼られている。第8話ではトウカイテイオー、シンボリルドルフのポスターが登場。書かれているキャッチコピーは、いずれもポスター“JRAヒーロー列伝”が元ネタになっていると思われ、前者の「帝王は、皇帝を超えたのか。」は「帝王は、皇帝を超えたか。」、後者の「勝ち方に一意専心したい。」は「勝ち方を極めたい。」がモチーフだろう。

 ようやく気持ちを立て直したキタサンブラックを、寮の窓越しに見守るトウカイテイオー。セリフはないが、同室で寝ているのはマヤノトップガン。モチーフ馬は現役時代は被っていないが、同じ騎手(田原成貴)を背に有馬記念を勝ったという共通点がある。

電車内から見える東京競馬場がじつにリアル

 【第9話】

 高度経済成長期のニュース映像を思わせる描写から始まる第9話 。キタサンブラック、サトノダイヤモンドが天井知らずの急成長を遂げる……といったイメージなのだろうか。昭和繋がりというわけか、商店街の八百屋のおじさんが口にした「よっこいしょーいち」も昭和のギャグである。

 前哨戦は、阪神大賞典でサトノダイヤモンドがシュヴァルグランを退けて優勝、大阪杯ではキタサンブラックがGI4勝目を挙げて力を見せていた。

 第9話は“観光回”とでも言うべきエピソードとなっている。

 ノープランで旅に出るキタサンブラックとサトノダイヤモンド。まずは京王線府中駅とおぼしき駅から旅立つ。電車内から見えるレース場(東京競馬場)が、上の方、5階席部分くらいしか見えないのがじつにリアルだ。

まさかの“バレット”が登場

 ふたりが行き先を決めるシーンでは案内板に新幹線ではなく“バレット(Bullet train=超特急列車)”という表示が。Bulletとは銃弾のことだが、わざわざバレットと表記しているということは、競馬で騎手の手伝いをする職業であるValet(読みは同じく“バレット”)とかけているのかもしれない。東京駅からは千葉方面へ。“葉京線”で五井駅(千葉県市原市の中心駅)と思われる駅へ行き、小湊鐵道のトロッコ列車によく似た列車に乗り換える。そのままいすみ鉄道で走っているような列車に乗り込み、終点の大原駅(いすみ市)を彷彿とさせる駅までの旅が描かれていた。

レース前の映像に使われたキャッチコピーは…

 後半はキタサンブラック×サトノダイヤモンド、2度目の直接対決となった天皇賞(春)。名物モブキャラクター、ますおとみなみが「春の天皇賞、2強対決」、「メジロマックイーンとトウカイテイオー」と語っていたように、史実でも前年の有馬記念から続く2強ムードが漂っていた。

【次ページ】 芝がめくれる馬場状態も再現

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