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日本勢期待の星Moto3の古里太陽が初表彰台獲得 才能の源たる身体能力の高さは子どもの頃の器械体操経験の賜物

posted2023/11/07 11:04

 
日本勢期待の星Moto3の古里太陽が初表彰台獲得 才能の源たる身体能力の高さは子どもの頃の器械体操経験の賜物<Number Web> photograph by Satoshi Endo

Moto3で初めての2位表彰台を喜ぶ古里太陽とチームアジアのスタッフたち。青山博一監督も会心の笑顔だ

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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Satoshi Endo

 10月下旬にチャン・インターナショナル・サーキットで開催された第17戦タイGPのMoto3クラスで、チームアジアの古里太陽が2位になり、キャリア初の表彰台に立った。昨年16歳でグランプリにデビューして35戦目。優勝したダビド・アロンソとは0.266秒差。最終ラップの最終コーナーまで優勝争いを繰り広げた4人のタイム差は0.382秒で、太陽自身「1位にもなれたし、4位になったかも知れない」と振り返る厳しい戦いでの表彰台獲得だった。

 予選はベストグリッドタイの6番手。好スタートを切った太陽は、10数台で構成された大集団のトップグループの中で常に先頭グループにつけた。19ラップのレース後半に入ると優勝争いは5台へ。そして終盤には4台に絞られたが、その中で太陽は、最後まで積極的な走りを見せた。

 ストレートで抜かれても、ブレーキングで前に出るという繰り返し。最終ラップは2番手をキープした。チャン・インターナショナル・サーキットのイチバンの勝負所は、ロングストレートからハードブレーキングとなる90度右コーナーの最終コーナー。ここで太陽は、総合首位につけるハウメ・マシアに一度は抜かれて3位にダウンするも、クロスラインで立ち上がり、マシアを抜いて2位でチェッカーを受けた。

「スタートはあまり良くなかったけど、1周目を終えたときに3番手にあがれた。その後も常にトップグループの前の方で戦えた。ストレートでばんばん抜かれたけどブレーキングがすごく良くて、コーナーでも良く曲がったし、すぐに抜き返せた。今回はフリー、予選とすごく良かったし、トップグループの中でペースも良くて、70、80%で走れたし、落ち着いて冷静に戦えた。予選は6番手だったけど、ベストラップを出しているときに前のライダーがスローダウンして、追突をさけるために転んでしまった。あれがなければ、フロントローもPPも狙えた。すごく悔しかったし、その分も決勝はいい走りが出来た」

ホンダはKTMに苦戦中

 Moto3クラスは現在、ホンダとKTM(オーストリア)による2メーカーの戦い。コンストラクターズタイトルでは、この2メーカーにハスクバーナ、ガスガス、CFモトという3メーカーが加わり、5メーカーの戦いになっているが、この3メーカーはすべてKTMがマシンを供給するOEMでの参戦となっている。

 エンジンには4ストローク250cc単気筒を使用。回転数の上限がさだめられ、ライダーとマシンの総重量制(152kg)を実施するなど、イコールコンディションを目指すカテゴリーになっているが、現在はKTM勢が優位に立つ。総合首位はホンダのマシアだが、その他はすべてKTM勢。これまで多くのチャンピオンを輩出してきたレオパード・レーシングが厳しい規制の中でチーム独自のチェーンを施し、孤軍奮闘でなんとかKTM勢と戦えるポテンシャルを発揮している。

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